記者会見における今井会長発言のポイント

−4年間を振り返って−

2002年5月23日
(社)経済団体連合会

政策が、構造改革と景気刺激との間を揺れ動く4年間だった。この間、経済はデフレを脱却できず、金融問題、不良債権問題も解決していない。長銀の譲渡先選定やデット・エクイティ・スワップをはじめ、金融問題の処理を思うように進められず、最後まで問題が残ったことは残念である。

公的資金注入や大合併により銀行の体力強化が図られてきたが、本当に強くなったとは必ずしも言えない。それを見極めるのはこれからだ。しかし、最終段階には来ているので、それほど案じてはいない。企業のバランスシートの改善も道半ばだ。

経団連会長として、やれるだけのことはやったが、結果として経済はさっぱりよくなっていない。経団連にも経済運営の責任の一端があるとすれば、及第点には達していない。

グローバル・コンペティションと少子高齢化という環境の中、わが国の最大の課題は、国際競争力の強化と国民負担率の抑制である。そこで、会長就任後、これらの問題を扱う委員会を経団連内に新設し、取り組んできた。企業には、「自立、自助、自己責任」を説き、「選択と集中」の経営を求めてきた。政府には、国際競争に打ち勝つ経営を進められるような環境整備のための構造改革を促してきた。その結果、産業再生法、株式交換、会社分割、金庫株、連結納税制度など、法制・税制の整備はかなり進み、企業は経営革新を進めている。

しかし、社会保障制度改革の進展はあまりなかった。社会保障制度改革の実現は、日経連との統合の目的であり、新団体で進めてもらいたい。

また、民間外交にも努力した。特に、最も大事なASEANならびに東アジアは毎年訪れ、政府、経済界の首脳と意見交換を重ねてきた。わが国は、ASEAN、韓国、中国とうまく経済連携する必要がある。

経済団体は政治に対して陳情する団体であってはならない。しかし、法制・税制の改革は政府の仕事であり、国に経済が直面している問題を指摘し、環境整備を促す必要がある。その意味で、政治との距離は近い必要がある。政治献金については、個人、企業が社会貢献活動の一環として、政党に献金していけばよい。

むつ小川原は、国や銀行などに巨額の債権放棄をしていただいたもので、進退をかけて処理した。

以 上

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