記者会見における奥田会長発言のポイント

2002年11月6日
(社)日本経済団体連合会

【景気・雇用情勢】

経済指標と実体経済との間に相当乖離があるのではないかと感じている。不良債権処理が本格的に行われれば、倒産や失業者について楽観的になれない。処理は、セーフティネットの拡充も含めた産業再生の施策と二本立てでなければならない。
改革の痛みを許容できる範囲は、失業率で見ると 6〜6.5%までだ。それ以上になると、日本は情緒的な社会なので、社会不安につながる惧れがある。

【産業再生】

不良債権処理を加速させると、インパクトは避けられないだろうが、銀行がどこまで処理を進めるのかがわからないので、具体的な影響は推定できない。
産業再生機構のトップには、実務に明るく、金融にも通じていて、権威・重みがあってカリスマ性を備えた企業再建の経験者が相応しい。

【税制改革】

経済財政諮問会議、政府税調、党税調の間で、法人税のようにぶつかるものもあるが、それ以外はそれほど差はない。党税調の長老が改革を阻んでいるというようなことはない。
ただ、今回の税制抜本改革は、結果的にはつじつま合わせになっている。来年もう一度初めからやり直さないと本当の抜本改革は実現できない。

【雇用保険料率の引き上げ】

雇用保険料率の1.6%への引き上げは、国民、企業にとってはなはだ迷惑な話である。不足が出たので料率改定で補うという五月雨式のやり方をしていたのでは、国民の間に不安感が増し、結果として消費が冷え込んでしまう。社会保障制度改革の全体像をわかりやすい形で国民に示し、その中で保険料率はこうなるという具合に説明しなければならない。

【米中間選挙】

中間選挙では与党が負けるというのが過去の例であったが、今回は共和党が勝つ見通しのようだ。その意味では、ブッシュ政権への信頼が増したと判断できるのではないか。

【FTA(自由貿易協定)】

FTAは世界各地で推進していくのがよい。日本は農業政策についてはいろいろな視点があるが、政府には、農業政策をどうすべきかということについて早く方針を出していただきたい。

以 上

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