[ 日本経団連 ] [ コメント/スピーチ ]

経済3団体共催新年祝賀パーティー後の共同記者会見
における奥田会長発言要旨

2004年1月6日
(社)日本経済団体連合会

【景気】

景気は上向き傾向にあり、やっと明るい光が見えてきた状態だ。消費マインドが上向き始めたことが大きいが、これは小泉改革の成果がやっと目に見える形になってきたことの表れと思う。企業業績も好転したことから、今年は守りの経営から攻めの経営に転じるだろう。本格的な景気回復のために企業が取り組むべきことは、他に先駆けて優秀な新製品・サービスを開発、市場に投入することだ。懸念材料は、イラクや北朝鮮など国外の政治情勢と米欧の経済の先行きである。

【為替・株価】

現在の為替相場の水準は、米国向けにドル建てで輸出している企業には限界だろう。しかし、ヨーロッパにも輸出している場合には、ユーロ高なのでドル高の影響は相殺されている。

【今夏の参議院選挙に向けて】

各党ともより一層マニフェストを重視するようになるだろう。十分に検討して実行可能なマニフェストを打ち出すものと期待している。力の拮抗した二大政党がある程度の期間をおいて政権交代を繰り返すのが理想的だと考えるが、現状はまだそこまで至っていない。

【消費税について】

この1年で、いつかは消費税率を引上げざるを得ないとのコンセンサスが国民の間にできてきたと思う。(景気情勢など)タイミングを計りながら引上げるべきだと思う。

【社会保障制度改革について】

昨年末、年金保険料率の上限を18.35%とすることが決まったが、他方、税制改正大綱の中では、医療や介護も含めて社会保障制度改革を一体的に検討し、消費税を含む抜本的税制改革を実現することが明記された。保険料率の上限についても、(抜本的税制改革次第で)変わる余地があると考える。

【外国人労働者の受入れ】

人口も労働力人口も減少に転じることから、真剣に検討しておかなければならない問題だ。すでに、いわゆる3K職場では人手が足りず、外国人労働者に頼っているという実態がある。日本経団連では、本年3月を目処に外国人労働者問題についての報告書をとりまとめる予定だ。

【FTAと農業問題について】

WTO(での自由化)がうまく進んでいない現状では、当面、メキシコやタイ、フィリピンなどとの二国間FTAを早期に締結すべきと考える。日本経団連では農業団体との懇談会を開催しているが、かつてのような工業対農業という意識はないように思う。農業団体側は、日本の農業の国際競争力と後継者問題が課題であり、これらを解決したいと発言している。

以上

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