経済3団体共催2008年新年祝賀パーティ後の共同会見における
御手洗会長発言要旨

2008年1月7日
(社)日本経済団体連合会

【2008年の景気見通しについて】

雇用情勢は堅調で、個人消費は緩やかに拡大していくだろう。企業業績は良く、設備投資も拡大するだろう。住宅は、建築基準法改正に伴う混乱が収まれば、確実に回復する。世界経済は好調であり、夏以降、輸出の伸びも期待できる。こうしたことから、2%の実質成長を達成できる。さらに言えば、名目成長率が実質成長率を上回ることを望んでいる。

【株価について】

企業業績が好調で、利益水準は非常に高いにもかかわらず、日本株は経済の実力以上に売られている。今年2万円を窺うところまで回復することを希望する。

【春季労使交渉について】

グローバル競争、総額人件費管理、経済の安定成長という3つの観点から考える必要がある。生産性が上昇していて支払能力がある企業は、従業員への配分を厚くすることもあろう。他方、激しいグローバル競争の中、原料高を価格転嫁できない企業や生産性が上がらず支払い能力に乏しい中小企業については厳しい状況だ。いずれにせよ、横並びのベースアップはもはやありえず、個別企業によってまちまちの結果になるだろう。

【地球環境問題について】

地球温暖化問題への取り組みにあたって、最も重要なのは革新的な技術の開発・普及である。CO2削減目標については、特定の年度を基準に国ごとに目標を設定するのではなく、エネルギー効率を基本とし、セクトラル・アプローチを活用して、各国が自主的・自立的に取り組むことが最も効率的である。その上で、国際協調がなされれば良い。
来るべき洞爺湖サミットにおいて、世界に冠たる環境先進国である日本は、ポスト京都議定書の国際的枠組みの構築に向け、強力なリーダーシップを発揮しなければならない。革新的な技術開発を進める協力体制が構築されることを望む。

【政治情勢について】

与野党には、国民生活・国益の観点から政策協議を重ね、粛々と改革を進めていただきたい。予算や税制の審議、7月のサミットを控えており、政治空白は許されない。
先進国中最も劣悪な財政状況にある日本は、何よりも経済成長の中で財政健全化を実現していかなければならない。これは与野党を問わず、政治が取り組むべき最重要課題である。

【消費税率引き上げについて】

2011年のプライマリーバランス黒字化を必ず実現し、さらに、2010年代半ばにかけて、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく必要がある。このため、歳出面において、「基本方針2006」ならびに「基本方針2007」に則って、最大限の歳出削減を行っていかなければならない。それを前提に、歳入面での手当ても行う必要がある。増加を続ける社会保障費を賄う安定的な財源の確保が最重要課題である。公的年金の国庫負担率の引上げが予定されている2009年は間近であり、待ったなしの状況だ。早急に抜本的な税制改正の討議を進め、消費税率の引き上げについて、国民全体のコンセンサスを形成する必要がある。

以上

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