改革を加速し、信頼を確立する

―経団連会長新年メッセージ―

1998年1月1日
(社)経済団体連合会
会長 豊田章一郎


改革の加速化

21世紀の幕開けを間近に控え、経済界は、グローバル化と高齢化社会に対応した、自由、透明、公正で活力ある経済社会システムの実現に一丸となって取り組まなければならない。
橋本総理が掲げた経済構造改革、財政構造改革、行政改革などのいわゆる6大改革も、今や確かな一歩を踏み出した。また、金融機関の破綻問題についても、預金者を保護し、金融システムを維持する観点から、財政資金導入の姿勢が明確に打ち出されたことは大きな前進である。
わが国のファンダメンタルズは基本的に健全であり、構造改革に伴う痛みを乗り越え、改革を加速化することによって、必ずや明るい将来が開けるものと確信する。

経済活性化の担い手としての企業

企業の積極果敢な事業活動こそが、わが国経済の活力の源泉であり、また、国民の福祉、社会の安定の基盤である。企業は、経営体質を強化するとともに、創意工夫をこらして新たな市場を開拓し、経済の活性化につなげてゆく。
大競争時代に突入した今日、経済界としては、規制の撤廃・緩和や法人税の国際水準へのさらなる引下げ等、企業の活力を最大限発揮できる環境の早急な整備を引き続き強く求めてゆく。
こうした努力を通じて、バブル崩壊後の経済不安を一掃し、新たな発展への歩を進めなければならない。

企業に対する信頼の確立

経済社会システムの「変革」、「創造」は、「信頼」が根底にあってこそ、はじめて実現できる。一連の企業不祥事は、企業ならびに経済界に対する国内はもとより国際的な信用を失わせ、自由主義経済の基盤を揺るがすことにもなりかねない。
今こそ、企業は、自己規律の確立、自己責任原則の徹底、ならびに経営チェック機能の強化などによって、株主をはじめ内外からの信頼を確立することが肝要である。

世界の期待に応える日本

構造改革を通じてわが国自身が健全な経済システムを実現し、国際機関と協力して対外支援を行なうことが、通貨不安に揺れるアジア各国、ひいては世界経済の安定化に資する。
また、経済界としては、温暖化対策等の環境問題に自主的に取り組むとともに、海外事業活動を積極的に展開して諸外国の期待に応えてゆく。さらに、WTO、OECD、APEC等の国際的なルール作りに主体的に参画し、「魅力ある日本−活力あるグローバル国家」の創造に中心的な役割を果たしてゆく。

以 上


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