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月刊 経団連 最新号

月刊 経団連2016年8月号

特集 日露経済関係の新たな展望を切り拓く

巻頭言

「観光先進国」の実現に向けて

冨田哲郎 (経団連審議員会副議長/東日本旅客鉄道社長)

4月に発生した熊本地震の犠牲となられた方々に衷心より哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申しあげる。地域の人口減少も進展するなかで、地元も含めた官民が一丸となって、復興を強力に進めていく必要がある。観光委員会としても、即効性のある観光による復興に微力を尽くしたい。

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特集

日露経済関係の新たな展望を切り拓く

日本を取り巻く環境が大きく変化するなか、アジア太平洋地域の繁栄と安定を確かなものとするうえで、日露経済関係の拡大・深化は極めて重要な課題である。経団連は、政策提言「日ロ経済関係の基本的な考え方」(2015年12月公表)において、両国間の貿易・投資関係のポテンシャルが十分に活かされているとは言い難い現状を指摘し、ビジネス環境の改善に向けた具体的な方途を提示している。同提言を踏まえ、日露ビジネスの拡大と深化に向けた課題を明らかにするとともに、今後を展望すべく意見交換を行った。

座談会:日露経済関係の新たな展望を切り拓く

  • 朝田照男 (経団連日本ロシア経済委員長/丸紅会長)
  • 原田親仁 (日露関係担当政府代表兼特命全権大使)
  • 野路國夫 (経団連審議員会副議長/コマツ会長)
  • 下斗米伸夫 (法政大学法学部教授)
  • 橋本 剛 (司会:経団連日本ロシア経済委員会輸送部会長/商船三井取締役専務執行役員)

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朝田照男 (経団連日本ロシア経済委員長/丸紅会長)
2015年の日露貿易額は減少する一方で、対露直接投資は増加した。これは、ロシアのポテンシャルに対する日本企業の期待を表している。ビジネス環境上の課題は多いが、世界銀行による「ビジネス環境ランキング」でロシアの順位は上昇しており、プーチン大統領の号令のもと、環境改善が着実に進んでいることがうかがえる。経団連の訪モスクワミッションでは、昨年公表した「日ロ経済関係の基本的な考え方」に基づき、さらなる改善を要望するとともに、5月の日露首脳会談で示された「8項目からなる協力プラン」の具体化に向けて、関係構築を図ってまいりたい。

原田親仁 (日露関係担当政府代表兼特命全権大使)
昨年9月の岸田外務大臣の訪露以降、日露関係は政治対話が活発化し、肯定的な基調にある。今年5月のソチの日露首脳会談では、幅広い分野での関係進展につき意見交換が行われた。そのなかで、平和条約交渉については今までの発想にとらわれない「新しいアプローチ」で交渉を進めていくことで一致し、経済分野では、安倍総理より8項目からなる「協力プラン」が示され、プーチン大統領はこれを高く評価した。今後は、官民連携で協力プランを具体化していきたい。また、ロシア政府に対してビジネス環境改善のため積極的に働きかけていく。

野路國夫 (経団連審議員会副議長/コマツ会長)
当社は、旧ソ連時代の50年前から継続して事業を展開している。近年は工場や人材育成センターを開設した。その経験から、ロシアに進出する日本企業は、厳しい気候条件、行政手続きの煩雑さ、物流コストの高さ、コンプライアンス等のリスクを十分把握する一方、勤勉な国民性、高い科学技術等の長所を活かす戦略を持つべきである。現在、ロシアの景気は低迷しているが、当社では、今こそブランドを根付かせるチャンスと考え、人材育成に力を注いでいる。

下斗米伸夫 (法政大学法学部教授)
2006年12月、プーチン大統領は、国家安全保障の観点から極東地域の開発を重視する「東方シフト」の大号令を発した。昨今のロシアと欧米の関係を考えると、東方シフト、アジアシフトこそ、ロシアの生きる道である。そうしたなか、昨年来、日露間でハイレベルな政治対話が実現していることは、日露関係の将来に明るい見通しを抱かせる。ソ連時代からのつながりを持つ世代は、この20年間活躍するチャンスがなかった。その分、過去のしがらみのない若い世代が、今、新しいアプローチで関係をつくろうとしている。

橋本 剛 (司会:経団連日本ロシア経済委員会輸送部会長/商船三井取締役専務執行役員)
北極海、ベーリング海、オホーツク海等、気象条件の厳しい海域における海上輸送を継続して確保していきたいと考えている。そのためには、日露双方の緊密な経済的・技術的・人的協力関係が不可欠である。両国の政治リーダーの強力なイニシアティブにより、日露関係史上かつてないモメンタムが醸成されるなか、経済界としては、日露相互の強みを活かしながら未開拓のポテンシャルを追求し、ロシアとのビジネス対話を一層緊密化していきたい。

  • ●日露関係に関する現状認識
  • ハイレベルの政治対話が次々と実現
  • 「東方シフト」の大号令から10年を経て
  • ロシアのポテンシャルに期待する日本企業
  • 景気低迷の今こそブランドを根付かせるチャンス
  • アジア向けの資源輸出が伸びていくのは明らか
  • ●ロシアビジネスの推進に向けた課題
  • 訪モスクワミッションでビジネス環境改善を要望する
  • ロシアについてよく勉強することが一番のリスクヘッジ
  • 官民が連携して取り組むことが重要
  • 日露間で新しい世代のマッチングが始まっている
  • メンタリティーの違いを乗り越え、プロジェクトをやり遂げたい
  • ●日露経済関係の拡大と深化に向けた展望
  • 極東で日露合作の新しい産業を生み出す
  • さまざまなレベルでの人的交流を推進すべき
  • 官民連携で8項目の協力プランの具体化へ
  • 新たな分野に拡大するロシアビジネス
  • 北極海航路の開拓を通じた二国間・多国間協力の展望

日露関係の前進に向けて
 岸田文雄 (外務大臣/衆議院議員)

  • 平和条約交渉の前進に向けて
  • 協力プランの具体化への取り組み
  • 日露関係全体の発展へ

ロシアと日本、経済協力の可能性
 イーゴリ・シュヴァロフ (ロシア連邦第一副首相)

  • ロシアのビジネス環境は改善
  • 極東への投資誘致
  • 互恵的な友好関係の構築を

日露経済関係の互恵的な発展に向けて
―訪モスクワミッションを派遣し、閣僚等と政策対話を実施
 朝田照男 (経団連日本ロシア経済委員長/丸紅会長)

  • 日露経済関係の鍵を握る4閣僚との政策対話
  • 4年ぶりに行われたロシア経済界首脳との直接対話
  • ミッションの成果と今後の取り組み

露日経済関係の現状と展望
 アレクサンドル・ショーヒン (ロシア産業家企業家連盟会長)

  • ロシア経済界は日本企業を高く評価
  • ビジネス環境のさらなる改善に向けた継続的な取り組み

露日経済関係の展望と日本企業への期待
 アレクセイ・レピク (露日ビジネスカウンシル議長)

  • アジア諸国との関係強化
  • 幅広い分野での日本企業との協業を歓迎

日露経済交流の推進に向けて
 片瀬裕文 (経済産業審議官)

  • 相互補完性を有する日露経済関係
  • 日露経済関係の発展

露日投資協力により付加価値創出の連鎖を
 スタニスラフ・ヴォスクレセンスキー (ロシア連邦経済発展省次官)

  • 極東をアジア太平洋諸国向けの製品輸出拠点に
  • エネルギー分野での開発にも尽力

日露の経済関係強化に向けた課題と経団連への期待
 池村圭司 (モスクワ・ジャパンクラブ理事長/CIS住友商事会社社長)

  • 両国の協力分野にはさらなる広がり
  • 対話の継続でルールの整備を

ロシアビジネスをめぐる現状・課題と経団連への期待
 隈部兼作 (ロシア・ユーラシア政治経済ビジネス研究所代表取締役)

  • 日露ビジネスの特徴
  • 今後の対露ビジネスの課題
  • 経団連に期待すること

EU・ロシア経済関係の現状と展望
 エンマ・マルチェガリア (ビジネスヨーロッパ会長)

  • 経済界の継続的なコミュニケーションが重要
  • ロシアはWTOでより積極的な役割を

米露経済関係をめぐる歴史的経緯と現状
 アレクシス・ロジャンコ (在ロシア米国商工会議所会頭兼CEO)

  • ロシアで実績を挙げる米企業
  • 高まる米企業のロシア市場でのプレゼンス

安倍8項目経済協力プランの地政学
 石川一洋 (日本放送協会放送総局解説委員室解説主幹)

  • 北東アジアの地政学
  • 日露の関係強化が北東アジアの安定に

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一般記事

米国・カナダとの経済関係強化に向けTPP早期発効を働きかけ
―アメリカ・カナダミッションを派遣
 石原邦夫 (経団連前副会長・アメリカ委員長/東京海上日動火災保険相談役)
 村瀬治男 (経団連審議員会副議長・アメリカ委員長・カナダ委員長/キヤノンマーケティングジャパン会長)
 土橋昭夫 (経団連カナダ委員長/双日顧問)

  • ワシントンDC(5月22~23日)
  • カナダ・オタワ(5月24日)
  • コロラド州デンバー(5月25~26日)
  • ワシントン州シアトル(5月26~27日)

知的財産の活用と紛争に関する国際的潮流とわが国企業の課題
―企業経営者向けグローバルビジネスシンポジウムに参加して
 金子眞吾 (経団連知的財産委員長/凸版印刷社長)

  • 講演者の講演概要
  • 知財活性化宣言を採択
  • 経団連の認識と取り組み

第105回ILO総会に出席して
―グローバル・サプライチェーン等をめぐり、世界の政労使関係者が熱く議論
 得丸 洋 (経団連雇用政策委員会国際労働部会長/三井化学参与)

  • グローバル・サプライチェーンをめぐる世界の動向
  • グローバル・サプライチェーンの影響と課題
  • グローバル・サプライチェーンにおける労働環境改善に向けて

連載

  • あの時、あの言葉
    悠々として急げ
    三宅峰三郎(キユーピー社長)

  • Essay「時の調べ」
    「山の日」に思う
    萩原浩司(山と溪谷社主幹)

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