1. トップ
  2. 月刊 経団連
  3. 座談会・対談
  4. ミャンマーとの経済協力の強化に向けて

月刊 経団連 座談会・対談 ミャンマーとの経済協力の強化に向けて

藤野 隆
司会:経団連アジア大洋州委員会企画部会長・前日本ミャンマー経済委員会企画部会長
旭硝子取締役常務執行役員

白石 隆
政策研究大学院大学学長

小林 健
経団連日本ミャンマー経済委員会共同委員長
三菱商事社長

赤羽一嘉
経済産業副大臣

勝俣宣夫
経団連副会長・日本ミャンマー経済委員長
丸紅相談役

PDF形式にて全文公開中

勝俣宣夫 (経団連副会長・日本ミャンマー経済委員長/丸紅相談役)
ミャンマーの魅力は、人口の多さ、地理的・地政学的な優位性、未開発の資源、豊富な労働力など、ポテンシャルの高さにある。経団連としても、休止していた日本ミャンマー経済委員会を昨年、再開し、関係強化に努めている。日本企業のミャンマーへの進出にあたっては、JETROなど、政府系機関が大きな役割を果たしている。2015年までに、日ミャンマー官民共同プロジェクトの象徴であるティラワ工業団地の開発を成功させたい。

赤羽一嘉 (経済産業副大臣)
テイン・セイン政権については、経済改革もさることながら、政治改革についても評価している。テイン・セイン大統領は、ミャンマーの経済発展に熱意を持ち、実務能力の高い方である。今年5月、安倍総理が訪問した際、本年度末までに910億円の政府開発援助を行うことを約束しているが、各国企業がミャンマー進出に向けてしのぎを削っているなか、日本としても政府をあげて日本企業を支援していきたい。

小林 健 (経団連日本ミャンマー経済委員会共同委員長/三菱商事社長)
われわれは海外投資する際に、人口の多さ、識字率の高さ、日本に対して友好的であるという三つの条件を重視している。アジア最後のフロンティアといわれるミャンマーは、まさにこの三つの条件を兼ね備えている。ミャンマー経済の発展には、インフラ整備が焦眉の課題であり、特にプライオリティーが高いのは電力や通信インフラの整備である。民間投資では、ティラワ工業団地の開発に取り組んでおり、日ミャンマー双方にとっての官民協働のランドマーク・プロジェクトとして、しっかり進めていく。また、人材育成も官民が協力するかたちで進めたい。

白石 隆 (政策研究大学院大学学長)
2011年からのテイン・セイン政権による改革開放の動きは、アウン・サン・スー・チー氏と会談、2015年のASEAN議長国への立候補、ミッソンのダム建設の停止など、工程表どおりに進められた。その結果、国の内外に「ミャンマーは変わった」と印象付けることに成功した。しかし、2015年に予定される総選挙では、野党のNLDが勝つとみる専門家も多い。総選挙後も政治が安定し改革路線が継続すれば、経済はさらに発展するだろう。

藤野 隆 (司会:経団連アジア大洋州委員会企画部会長・前日本ミャンマー経済委員会企画部会長/旭硝子取締役常務執行役員)
テイン・セイン政権の発足後、ミャンマーではさまざまな改革が行われている。また、改革の推進で、国力が高まるだけではなく、近隣諸国との関係にも変化が見られる。ミャンマーの持つ潜在力の具現化には、日本の官民がそれぞれの知見を活かして協力することが重要である。日本企業の進出は拡大することが予想され、経済界としてもその円滑化のための環境整備について、インフラ整備や政策対話を通じて、取り組みを強化していきたい。

  • ●ミャンマーの魅力・重要性と政治・経済改革の現状
  • ミャンマーの魅力は高いポテンシャル
  • 次々に改革を進めるテイン・セイン大統領の政治手腕
  • 2015年の総選挙の結果に注目
  • 人口の多さ・識字率の高さ・日本に対して友好的
  • ●日本企業のミャンマー経済発展への取り組みと今後の課題
  • インフラの整備が焦眉の課題
  • 活動を再開した経団連日本ミャンマー経済委員会
  • ●日本政府の対ミャンマー国際協力、民主化支援の流れ
  • 910億円の政府開発援助を来年3月までに実施
  • 長期的なテーマとしてはダウェイ開発が重要
  • ●ミャンマーの経済発展に向けて、経済界が果たすべき役割
  • 日本からの直接投資がミャンマーの経済成長には不可欠
  • 日本がアジアの国々に対して積んできた陰徳が財産になる
  • 官民共同プロジェクトとしてティラワ工業団地を成功させる
  • 実務人材の育成・確保が急務

「2013年9月号」一覧はこちら

「座談会・対談」一覧はこちら