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月刊 経団連 座談会・対談 レジリエントな経済社会の構築に向けて

本田茂樹
インターリスク総研総合企画部特別研究員/防災に関する委員会委員

橋本孝之
経団連防災に関する委員会共同委員長
日本アイ・ビー・エム副会長

中島正愛
京都大学防災研究所教授

川合正矩
経団連地域基盤強化委員会共同委員長
日本通運会長

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川合正矩 (経団連地域基盤強化委員会共同委員長/日本通運会長)
東日本大震災の経験から、迅速で効率的な復旧活動を行うためには、法令の弾力的運用や規制緩和が必要だと考えている。また、当社を含む日本の物流大手企業は海外に進出しているが、平常時のロジスティックサービスだけでなく、災害時における貢献を念頭に置いて事業展開していくことが重要である。加えて、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、国内交通インフラの老朽化対策、効率化も進めなければならない。

中島正愛 (京都大学防災研究所教授)
SIPでは、府省連携と社会実装が大きな課題である。このSIPで開発するICTを活用した災害情報共有システムは、企業のBCP策定にも貢献できる。日本は自然災害のデパートと言っても過言ではない。自然災害と長年向きあってきたわが国の経験と技術は、世界の防災・減災対策に貢献できる。個別の技術だけではなく、ハードとソフトを統合したパッケージとして海外に展開していくことが必要である。

橋本孝之 (経団連防災に関する委員会共同委員長/日本アイ・ビー・エム副会長)
経団連の防災に関する委員会は、東日本大震災の後、毎年、防災・減災対策に関する提言を行っている。その提言では、会員企業における防災・減災対策の現状を調査し、BCPの策定を促すとともに、政府への要望を掲げている。さらに今年は、会員企業が持つ防災・減災に関する技術を集約し、3月に仙台で開催される国連防災世界会議において世界に向けて発信をする。今後、防災・減災への取り組みを企業のなかでも主流化していくことが必要。

本田茂樹 (インターリスク総研総合企画部特別研究員/防災に関する委員会委員)
南海トラフ巨大地震、首都直下地震への備えが焦眉の急である。そのことを考えると、企業のBCP策定の取り組みを加速すべきである。レジリエントな社会を構築するためには、産学官に「民」を加えたオールジャパン体制が求められる。国が国土強靭化基本法などの法整備を進め、企業がBCPを策定する一方、国民一人ひとりが「自助」の意識を持つことも重要である。インフラ等ハード面の整備に加え、平常時からの教育・訓練、リスクコミュニケーションといったソフト面の取り組みが必要であろう。

椋田哲史 (司会:経団連専務理事)

  • ●東日本大震災の教訓を踏まえた防災・減災対策
  • BCP策定を促進するための取り組み
  • 迅速で効率的な復旧のために規制緩和や法令の弾力化を
  • 「レジリエンス」という言葉の持つ意味
  • BCPの実効性を高める
  • ●わが国における防災・減災に資する技術の一層の活用に向けて
  • SIPの取り組み
  • 日本の防災・減災技術を世界に発信する
  • 産学官それぞれが自らの役割を的確に果たすことが重要
  • ●世界の防災・減災対策への貢献
  • 日本の経験と技術を世界の防災・減災に
  • 防災・減災技術のパッケージ化が課題
  • 海外でも災害時の貢献を念頭に事業展開する
  • ●レジリエントな社会の構築に向けた取り組み
  • 自助・共助を進めるための情報提供が必要
  • 産学官民のオールジャパン体制で取り組む
  • 防災・減災を企業のなかで主流化させる四つのアイデア

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