Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年6月21日 No.3090  国土交通省港湾局と意見を交換 -国際バルク戦略港湾政策などめぐり/運輸委員会物流部会

経団連は5月31日、東京・大手町の経団連会館で、運輸委員会物流部会(丸山和博部会長)を開催し、「国際バルク戦略港湾政策」および「港湾の復旧・復興と今後の地震・津波対策」について、国土交通省港湾局から説明を聞き、山縣宣彦局長はじめ港湾局幹部と意見交換を行った。概要は次のとおり。

国際バルク戦略港湾政策

わが国の産業や生活に不可欠な、石炭、鉄鉱石、とうもろこしは、ほぼ100%を輸入に依存している。また、近年、中国などをはじめ世界的に需要が急増するなか、輸送を担うバルク船(注)は、大量一括輸送によるコスト削減を目的として、大型化が進行している。一方、わが国では大型バルク船が満載状態で入港できず、喫水調整するなど非効率な物流体系となっており、産業の競争力の阻害要因の一つとなっている。こうした状況を背景に昨年、「国際バルク戦略港湾」として11港を指定した。産業政策、産業界等と連携して、指定された港湾を拠点とする物流体系を構築するとともに、2015年までに現在の主力輸送船舶の満載での入港、2020年までに、今後登場する最大級の輸送船舶の満載での入港が可能となるようにし、わが国産業の競争力強化に努めていきたい。

(注)バルク船=鉱物や穀物などの梱包されていない「ばら積み貨物」を輸送するための貨物船

<意見交換>

経団連から、わが国が隣国に比べ水深の浅い港を抱えることになった背景や、急速に進行する船舶の大型化への迅速な対応について意見が出された。これに対し国交省からは、「国内産業が直面する6重苦への対応とともに、脆弱なインフラを解消することを通じて、わが国産業の競争力を支えなくてはいけないという意識は強く持っている。これまでの施策の検証も行い、産業界とも連携を取りながら、港湾行政に取り組んでいきたい」との回答があった。

港湾の復旧・復興と今後の地震・津波対策

被災地の港湾は、公共岸壁の約8割が暫定利用可能となっている(5月現在)。産業・物流上、特に重要な港湾施設は概ね2年以内での本格復旧を、湾口防波堤等は概ね5年以内での復旧を目指している。

港湾における今後の地震・津波対策は、東日本大震災の教訓と切迫性が指摘される大規模地震への対応という観点から、港湾の津波からの防護、港湾BCP(事業継続計画)に基づく災害対応力の強化、港湾間の連携による災害に強い海上輸送ネットワークの構築などを柱として、必要な対策を講じていきたい。

<意見交換>

経団連から、防波堤の復旧を急いでほしいとの意見や、耐震化率が5割未満である東京港などを含め、今後の港湾の耐震化の優先順位付けに関して質問があった。これに対し国交省からは、被災による影響が及ぶ範囲が広いものについては、一つ高い防護レベルが必要と考えていること、また、地方整備局や港湾管理者とも連携し、すでに港ごとに地震・津波対策検討会を立ち上げており、そのなかで実現可能な対策を検討し、対応していくとの回答があった。

【産業政策本部】