Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年10月25日 No.3106  日本企業の進出を歓迎 -シャロフ・モスクワ州副知事と懇談

シャロフ副知事(左)と岡委員長

経団連の日本ロシア経済委員会(岡素之委員長)は17日、東京・大手町の経団連会館で、モスクワ州のシャロフ副知事との懇談会を開催し、同州の外資誘致策や日本企業への期待などについて聞くとともに、意見交換を行った。
シャロフ副知事の説明の概要は次のとおり。

各種産業が発展し経済は順調に成長

モスクワ州はロシアで最も安定して発展する地域の一つである。モスクワ市を加えた人口は2500万人以上で購買力も高い。失業率は0.6%と低く、社会インフラも整っている。ロシア有数の地方総生産(GRP)を誇るモスクワ州では、古くから航空宇宙、機械、金属加工、エネルギー、化学、輸送用機器などの産業が発達し、2011年の工業生産高は対前年比で10%増加した。

最近では日本企業を含む世界の名だたる大企業が数多く進出し、生産拠点や事業所を設置している。中小企業の集積も進み、州経済の約4割を占める。

同年の対ロシア外国直接投資の合計は1900億ドル、うちモスクワ州への投資は55億ドルでこれまで累計230億ドルを受け入れている。

外国企業誘致のため良好なビジネス環境を提供

モスクワ州はビジネスを行ううえで有利な地理的要素と優れた交通インフラを備える。例えば国内最大級の三つの国際空港があり、欧州主要国の首都に3~4時間で到達できる。また、ロシアと欧州、アジアを結ぶ鉄道は11方面に伸びている。

来年からは、戦略的な投資家に対して利益税、資産税の大幅減税を実施する予定である。

日本企業の進出と重要プロジェクトへの参画に期待

ロシアでは科学技術分野と産業分野が深く結び付いている。モスクワ州には連邦の14の学術都市中九つが立地し、ノーベル賞受賞者を多く輩出している。学術都市のなかには、バイオ、医療、IT等に特化したテクノパーク建設の計画を有するものもある。また、ドゥブナ経済特区では、優遇税制が適用され、進出企業による核物理、IT、医療等の分野の活動が行われている。

モスクワ州の住民の多くがモスクワ市に通勤しており、負担を軽減するため、工業生産特区の整備とその周辺の衛星都市の建設が計画されている。クリンなどでは、すでに開発が進められている。

個別の重要プロジェクトとしては、高度医療需要の増大に伴う「多機能医療センター」の建設や、連邦政府肝いりの一大娯楽施設「パークロシア」の整備などがある。

これらのプロジェクトについて、州政府は必要な支援を実施していく。また、円滑な物流を実現するために、税関業務の改善や鉄道と道路をつなぐ効率的な輸送インフラの構築など、ビジネス環境の一層の整備にも取り組みたい。

こうした大きな構想は、ビジネス界との協力がなければ実行できない。特に日本企業のモスクワ州へのさらなる進出と、重要プロジェクトへの参画を大いに期待している。

【国際経済本部】