Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年11月15日 No.3109  シュタイナー国連環境計画事務局長との懇談会開催 -地球温暖化問題、循環型社会、生物多様性など

経団連は10月29日、東京・大手町の経団連会館で、来日した国連環境計画(UNEP、本部=ケニア・ナイロビ)のアヒム・シュタイナー事務局長との懇談会を開催した。経団連からは、環境安全委員会の吉川廣和廃棄物・リサイクル部会長、手塚宏之国際環境戦略ワーキング・グループ座長、小川賢治廃棄物リサイクル部会長代行、経団連自然保護協議会の石原博企画部会長・政策部会長らが出席した。

■ 低炭素型・循環型・自然共生型社会の構築に向けた経団連の取り組み

冒頭、吉川部会長から「世界経済の持続可能な発展を実現するためには、気候変動問題への対応をはじめ、環境・資源制約の克服は避けて通れない課題。日本産業界は世界最高水準の環境技術を活かし、低炭素型・循環型・自然共生型など、国内外で環境負荷の小さな社会の形成に貢献すべく、主体的な取り組みを具体的に推進している」と現状を述べたうえで、手塚座長から、国際枠組に対する考え方や地球温暖化対策に関する経団連の取り組み等を説明した。

続いて、小川部会長代行は、環境自主行動計画を通じた産業廃棄物の削減に関する着実な成果など、循環型社会の構築に向けた経団連の取り組みを具体的に紹介する一方で、UNEPの下で現在国際交渉が行われている水銀条約に関しては、「1950年代半ばに発生した水俣病への対応等も踏まえ、経団連として、水銀対策の知見を活用し、利用可能な最良の技術等により、環境への排出の削減に貢献していきたい」との決意を表明した。

さらに、石原部会長から、企業に対する自然保護・生物多様性保全に関する活動の啓発等について説明が行われた。

■ 経団連とUNEPの今後の連携に向けて

一連の説明を受け、シュタイナー事務局長は、経団連のリーダーシップを高く評価するとともに、UNEPと経団連の今後の連携の方策に関して、さまざまな共通項を指摘した。

まず、温暖化対策に関して、「UNEPは目下、『気候技術センター・ネットワーク』の早期具体化に取り組んでいるところであり、技術移転における日本との連携を図りたい」との意向を示した。

次に、循環型社会形成において、経団連の産業廃棄物削減に向けた具体的な取り組みについて、「廃棄物削減と経済成長を両立させたモデルとして、世界的に周知すべき」と指摘した。特にシュタイナー事務局長は、日本を廃棄物管理の分野でのグローバルな中核地とすべく、UNEPが大阪に設置している国際環境技術センター(IETC)を拠点に日本の経験・ノウハウを途上国をはじめとした各国に共有させたいとの意欲を示した。

さらに、水銀条約交渉に関しても、国際的な連携を推進する観点から経団連の支援に期待を表明したうえで、今後とも環境問題全般に関して経団連との対話を継続していきたいと締めくくった。

【環境本部】