Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年12月6日 No.3112  経団連が連合との懇談会を開催 -わが国経済社会の再生に向けた取り組みについて意見を交換

あいさつする米倉会長

経団連(米倉弘昌会長)は11月20日、東京・大手町の経団連会館で日本労働組合総連合会(連合、古賀伸明会長)との懇談会を開催した。経団連からは米倉会長はじめ、渡辺捷昭副会長、西田厚聰副会長、川村隆副会長、畔柳信雄副会長、勝俣宣夫副会長、大塚陸毅副会長、斎藤勝利副会長、宮原耕治副会長、石原邦夫副会長、篠田和久副会長ら20名、連合から古賀会長はじめ、会長代行や副会長ら19名が参加。「わが国経済社会の再生に向けた取り組み」をテーマに意見を交換した。

■ 両会長あいさつ

米倉会長は、わが国経済について、先行きの不透明感が一段と増す一方、グローバル競争が激化しており、成長戦略の迅速な実施が強く求められていると指摘した。また、衆議院の解散と総選挙については、「与野党間の信頼関係を再構築し、政治を前に進めていくために必要なステップ」と位置付けたうえで、選挙後は与野党が国民本位、国益本位の観点から協力し、重要政策を迅速かつ着実に推進すべきとの考えを強調。さらに、「こうした政治情勢であるからこそ、労使双方が忌憚なく議論し、知恵を出し合いながら、課題解決に向けた道筋について、共に考えていくことが大変重要である」と語った。

古賀会長は、12月の総選挙はこの国がどんな社会を目指して再生を図るのかを問う選挙になるとの認識を示すとともに、(1)経済対策(2)産業空洞化対策(3)社会保障・税の一体改革――の3点を当面の重要な政策課題として強調。そのうえで、「労使間で課題認識を深め、協力できることがあれば検討したい」と結んだ。

■ 意見交換

「わが国経済社会の再生に向けた取り組み」についての意見交換では、経団連からは、円高が放置されサプライチェーンごと「根こそぎ空洞化」すれば、取り返しのつかない事態を招くとの見解や、TPP(環太平洋経済連携協定)などの自由貿易体制を維持・拡大し、海外需要を内需に取り込むことで、地域経済の活性化や雇用拡大につながるとの考え、エネルギー政策は安全性の確保を大前提に、経済性のある価格で安定的に供給することが重要であるとの認識などが示された。このほか、経済社会の再生や経済成長を中長期的に考えるうえで、人材育成は基本的な命題であるとの意見や、経済成長を通じた所得増や雇用の創出によって支え手の数が増え、社会保障制度の持続可能性の向上にもつながることから、労使一丸となって社会保障制度改革の実現に取り組んでいきたいとの意向、わが国経済が直面している課題は国内投資の増加と内需型産業の育成であるとの見解、東日本大震災からの復旧・復興は喫緊の課題であると同時に5年、10年先の日本経済にとっての重要な課題でもあるといった発言などがあった。

連合からは、予算編成や補正予算にあたって分厚い中間層の復活に資する施策の優先度を上げるべきとの考えや、良質な雇用の創出と若年者雇用の問題にあたっては、労使が次元を超えて認識を共有することが大事であるとの見解を示した。社会保障・税一体改革については、成立した関連法に基づき、一体改革を着実に推進する必要があるとの意見などが出された。このほか、事業環境や交易条件の改善に向けて、労使が一致団結して政府に働きかけていくべきとの提案や、国民の将来不安、特に雇用不安を払拭するために、国内雇用を守るという経営側からの強いメッセージが必要との意見、地方の活性化・購買力の強化に向けて、社会システムの変革が必要との主張など、さまざまな意見が出された。

米倉会長がデフレ解消の重要性強調

閉会あいさつで古賀会長は、グローバル化の進展に伴って生じている一国や地域で完結できない問題について、その解決に知恵を絞ることに加え、さまざまな活動の下支えになっている地域や職場といったコミュニティーを今日的にいかに再生するかが課題であるとの考えを示した。そのうえで、「日本社会の基本的なあり方をどう詰めていくかの局面にきている」と述べ、今後も意見交換を重ねていきたいと語った。

米倉会長は、社会保障と税の一体改革や企業の競争力強化の必要性、人材育成などの重要な問題について、労使が同様な意見を持っていることをあらためて感じたとの所感を述べた。また、国内雇用を守るというメッセージを出してほしいとの連合からの意見に対して、「われわれはいま、まさに必死になって取り組んでいる」と強調。そのうえで、デフレ解消が一番重要であり、成長戦略を早く実現することで需要を創出することが必要であると締めくくった。

【労働政策本部】