Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年1月1日 No.3114  不正リスク対応基準について金融庁から説明聞き意見交換 -企業会計委員会企画部会

経団連は12月12日、東京・大手町の経団連会館で、企業会計委員会企画部会(谷口進一部会長)を開催し、金融庁総務企画局の栗田照久企業開示課長から、金融庁企業会計審議会で検討が進められている監査基準の見直しについて、説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

◇◇◇

近時、ディスクロージャーをめぐり、不正による有価証券報告書の虚偽記載等が相次いでおり、結果として公認会計士監査が有効に機能していなかったとの指摘があることから、5月から企業会計審議会監査部会において、監査基準の見直しが審議されてきた。同部会では、12月11日に「監査における不正リスク対応基準(仮称)の設定および監査基準の改訂について(公開草案)」の原案が承認され、近く公開草案として公表予定である。

同基準は、現行の監査基準等と一体として適用されるものの、主として上場企業の監査に適用されるものであり、また、わが国証券市場の国際的な信頼性向上にも資するよう、独立した基準とする。しかし、現行の財務諸表監査の目的を変えるものではなく、不正摘発自体を意図しているものでもない。また、画一的に追加的な監査手続の実施を求めることを意図しているものではなく、現行の監査で用いられているリスク・アプローチの考え方により、不正リスクに適切に監査手続を実施して有効性を確保しようとするものであり、過重な監査手続を求めるものではない。

監査人に対しては、不正リスクに対応するために、職業的懐疑心の強調や監査役等との連携を求めている。また、不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合には、経営者に対して説明を求めるとともに追加的な監査手続を実施することを求めている。さらに、不正リスクに対応した監査事務所の品質管理の整備や監査事務所交代時の引き継ぎの方針の明確化などを規定している。同基準の実施にあたっては、日本公認会計士協会の作成する実務指針と一体で適用していくことが必要であり、2014年3月決算にかかる財務諸表の監査から適用される予定である。

<意見交換>

説明後の意見交換では、「経済界からの一貫した主張であった、会計不正のない大部分の企業に対する監査の効率性が失われることがないように留意すべきという点は概ね反映され懸念は払拭された」「現場での誤解が生じないよう実務面でのフォローが必要」「今後作成される日本公認会計士協会の実務指針にも産業界の意見が反映されるよう求める」などの意見があった。経団連では、公開草案に対して、パブリックコメントでの対応をしていく予定である。

また、当日の企画部会では、監査基準の見直しのほか、国際会計基準(IFRS)適用企業等で構成される経団連IFRS実務対応検討会が取りまとめた「IFRS任意適用に関する実務対応参考事例」の紹介などが行われた。

【経済基盤本部】