Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年1月24日 No.3116  交渉開始を控えた日・EU経済連携協定について説明を聞く -横田経済外交担当大使、上田経産省通商政策局長から/ヨーロッパ地域委員会

経団連は12月28日、東京・大手町の経団連会館でヨーロッパ地域委員会(横山進一共同委員長、小林喜光共同委員長)を開催。横田淳経済外交担当大使、上田隆之経済産業省通商政策局長から、交渉開始を控えた日・EU経済連携協定(EPA)について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 横田・経済外交担当大使説明

世界の総人口の約1割、GDPの約3割、貿易の約4割を占める日・EUが高水準のEPAを締結することにより、双方の経済成長に資するとともに、世界経済の安定に貢献し、国際経済秩序においてわが国の主導的役割を確保することができる。

昨年11月のEU外務理事会で交渉権限が欧州委員会に付与されたことで交渉開始に向けた環境が整った。来年(2013年)のできる限り早い時期に日EU首脳協議を開催し交渉を正式に開始すべく、現在、交渉の枠組みについてEU側と協議を進めている。

EU加盟国から欧州委員会が取得した交渉権限には、(1)EUの関税の撤廃と日本の非関税措置の撤廃の並行性を確保する(2)交渉開始1年後に日本の非関税措置に関する取り組みを評価し交渉継続の是非を判断する――といった内容が盛り込まれている。これらについては、具体的内容を確認したうえで交渉に臨みたい。

わが国としては、非関税措置について、すでに閣議決定した事項を着実に実施するとともに、弛まず改革努力を続けることが交渉の円滑な開始と進展に欠かせない。他方、EUに対しては、鉱工業品の高関税の撤廃に加えて、規制など非関税措置の改善についても、経済界からの情報をもとに交渉で提起していきたい。

■ 上田通商政策局長説明

日・EU EPAの議論がここまで進んだのには、世界の他の自由貿易協定(FTA)が進展したことが大いに影響している。わが国としては、アジア太平洋地域の安定と平和を見据えて自らの立ち位置を定め、日中韓FTA、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)などの経済連携を推進する必要がある。そうすることが日・EU EPA交渉の原動力ともなる。

EUに対しては、直接投資を通じたEU現地における雇用への貢献を訴えていくとともに、イノベーションの推進に協力していくことが有益ではないかと考えている。EUが関心を有する非関税措置については、わかりやすくビジネスに優しいルールこそが世界に広がっていくという視点に立って考えていきたい。その点でEUに改善を求めるべき事項があれば主張していく。具体的なルールについては、日・EUの業界同士の議論も踏まえて決めていくことになる。将来のあるべき姿を議論しながら、わが国として変革を遂げていくことが重要である。

【国際経済本部】