Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年1月31日 No.3117  「経団連低炭素社会実行計画」を公表 -技術移転や革新技術開発通じ世界のCO2排出削減に貢献

経団連は17日、2013年度以降の産業界の主体的な温暖化対策として「経団連低炭素社会実行計画」を取りまとめ、公表した。概要は次のとおり。

■ 自主行動計画の成果

経団連は、京都議定書採択前の1997年6月に環境自主行動計画を策定して以来、省エネやCO削減に多大な成果を上げてきた。多くの新技術の開発や普及が推進され、イノベーション創出に寄与したことも、特筆すべき成果である。

各参加業種は自らの目標の達成に向けて最大限の取り組みを進める一方、経団連はPDCAサイクルを徹底し、実効性・透明性の確保に努めてきた。

こうした取り組みもあり、日本の主要産業は世界最高水準のエネルギー効率を達成し、自主行動計画は、政府が閣議決定した京都議定書目標達成計画で産業界の対策の柱として位置付けられている。

■ 低炭素社会実行計画の推進

自主行動計画は、産業部門を中心に国内のCO排出削減に大きな成果を上げたが、この結果、特に製造業において将来の削減余地は極めて小さなものとなっている。

他方、家庭等の排出は増加傾向にあり、国内対策を進める際は、その排出削減が大きな課題である。また海外では、新興国を中心に排出が急増しており、地球規模の排出削減に向け、わが国の優れた技術の移転が重要である。

さらに、国際社会が目指す2050年世界半減目標の達成は、既存技術のみでは不可能であり、革新的技術の開発を加速する必要がある。

以上を踏まえ、日本の産業界は、今後とも国内で最大限の排出削減努力を継続すると同時に、海外への技術移転や革新的技術開発等の取り組みを強化し、長期的視野に立って世界のCO排出削減に貢献する必要がある。

すでに多くの業種・企業は、2009年12月公表の経団連低炭素社会実行計画(以下、実行計画)の基本方針に沿って、実行計画の策定や参加表明を行っている(各業種の実行計画の詳細は、URL=http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/003.htmlを参照)。

■ 実行計画の特徴

  1. (1)2050年の世界の温室効果ガス半減に向けた4本柱の確立
    実行計画では、「2050年の世界の温室効果ガス排出量半減目標の達成に日本産業界が技術力で中核的役割を果たすこと」をビジョンに掲げている。
    この実現のため、参加業種は、(1)国内事業活動から排出されるCOの2020年削減目標の設定(2)消費者・顧客を含めた主体間連携の強化(3)途上国への技術移転など国際貢献の推進(4)革新的技術の開発――の4本柱による実行計画を策定する。

  2. (2)PDCAサイクル強化
    実行計画では、その透明性・信頼性を向上させるため、PDCAサイクルを充実させている。
    例えば、各業種の目標設定の段階から第三者評価委員会(より多様な視点からの評価・検証を可能とすべく、メンバーを拡充)による評価・検証を行う。また、実施状況等に関して、経団連および各業種のホームページ上での情報開示を充実させている。
    加えて、各業種は、第三者評価委員会での評価・検証結果を踏まえ、適宜実行計画を見直し、目標の超過達成が視野に入った場合等には、目標水準の引き上げも検討する。さらに、2013~15年度の成果を踏まえ、2016年度に実行計画の大幅なレビューを実施する。
    政府は、京都議定書目標達成計画に代わる新たな温暖化政策を策定するにあたっては、実行計画を同政策の柱に位置付けるべきである。また、産業界が円滑に取り組めるよう、大胆な規制改革や研究開発促進税制、二国間オフセットメカニズムの構築などを進めることが求められる。
    経団連も、透明性・信頼性の高いPDCAサイクルを推進し実行計画の確実な実施に努めつつ、温暖化問題の解決に向け世界をリードしていく。

【環境本部】