Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年1月31日 No.3117  在ロシア日本センター所長と懇談

経団連の日本ロシア経済委員会(岡素之委員長)は16日、東京・大手町の経団連会館で、日本政府が日ロ経済交流促進を目的としてロシア国内に設置する日本センターの各所長を迎え、任地の経済情勢と展望について説明を聞いた。

■ ロシア西部における今後の事業展開の可能性

モスクワ国立大学内日本センターの黒坂昭一所長は、ロシア経済の課題として、近代化・資源依存からの脱却、地域間格差の解消、アジア諸国との関係強化を挙げた。部品メーカーを含む日本企業の進出は、大市場モスクワを中心に半径500~千キロ以内の100万都市が候補になるとした。

サンクトペテルブルグの松原斉所長は、現在市政府が推進する五つの産業(医療・製薬、造船、自動車、放射線技術、エレクトロニクス)育成に触れ、すでに複数の日本企業が操業する自動車産業の課題として部品の内製化を指摘した。

ニジニー・ノヴゴロドの濱野道博所長は、沿ボルガ地域では各首長の特色ある企業誘致策等により自動車等の工業と農業が発展。海港から遠いものの、内陸部の大市場をにらみ日本企業の事業化調査が活発化しているとした。

■ 期待が高まる極東・東シベリア地域開発

ハバロフスクの山本博志所長は、近年当地が活気を失うなか、昨年のロシアのWTO加盟、極東発展省の創設、原油ガスパイプラインの完工、APECの成功は明るい兆候であり、今後の成長には港湾、道路、鉄道等輸送インフラ整備が必須と強調。また、中国との経済関係が深まるなか、石油ガス化学等、日本企業の新たな提案は重要とした。

ウラジオストクの大石莊平所長は、経済発展に向けた極東発展省、極東バイカル地区開発基金、極東開発公社の活動が重要と指摘。石油ガスパイプラインによる輸出先の多様化、港湾型特別経済区の設置、中国の経済拡張に対応する製造業の育成がカギであり、日本企業・製品の優れた技術、品質、安全性への信頼に基づく事業展開に期待が高まっていると述べた。

サハリンの岡林一郎所長は、石油ガス中心の産業構造は不変で、人口は減少するも、州政府は住生活環境整備に注力中とした。最近LNGや石炭の対日輸出が拡大。対日電力供給や天然ガス田開発等エネルギー分野の新規事業の可能性を指摘した。また、観光・製造業の複合型経済特区の整備計画を紹介。日本企業の技術やノウハウを活用した協力にも可能性があるとした。

【国際経済本部】