Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年2月7日 No.3118  第41回中国地方経済懇談会を開催 -「日本の再生と中国地方の活性化を目指して実行を」

経団連は1月30日、中国経済連合会(中国経連、山下隆会長)と広島市内のホテルで「第41回中国地方経済懇談会」を開催した。懇談会には、経団連から米倉会長はじめ審議員会議長、副会長らが、中国経連から山下会長はじめ副会長ら合わせて約300名が参加し、「日本の再生と中国地方の活性化を目指して実行を」を基本テーマに、互いに活動を報告するとともに懇談した。

開会あいさつのなかで中国経連の山下会長は、中国地方では「地域経済を支えてきた『ものづくり産業』における工場閉鎖や縮小が相次ぎ、産業空洞化と雇用の喪失が深刻さを増している」と指摘した。そのうえで、「厳しい状況にある今こそ、地域の再生・発展につながるよう、地域が有する優れた技術、豊富な資源、人材を結集して、挑戦し続けることが重要」と述べ、中国経連としても、(1)地域産業の競争力強化(2)安全・安心な暮らしを実現するための社会基盤整備(3)地方分権改革の促進――の3点を事業活動の柱として取り組んでいく姿勢を示した。

続いてあいさつした経団連の米倉会長は、昨年12月の総選挙において自由民主党が過半数の議席を獲得したことを受け、「今回の選挙結果は、現在の閉塞感を打破し、一日も早く日本経済を立て直してほしいという国民の強い思いが表れたものである」と指摘した。また、「わが国は課題山積の状況にあるが、企業ならびに国民一人ひとりが自らの能力を最大限に発揮することで、難局を乗り越え、再び力強い成長を実現できる」とし、第二次安倍内閣の発足に際して建議した「新内閣に望む」について説明した。さらに、「経団連としても、民主導の持続的な経済成長の実現に向け、『未来都市モデルプロジェクト』をはじめとするさまざまな取り組みを推し進めることで、新たな成長の機会をつくり出していく」との決意を示した。

■ 活動報告

活動報告では、経団連と中国経連双方から、政策課題に対する取り組みについて報告があった。経団連からは、(1)今後の経済運営(小島順彦副会長)(2)社会保障制度改革の推進(斎藤勝利副会長)(3)科学技術イノベーション政策の推進体制強化(大宮英明副会長)(4)TPP(環太平洋経済連携協定)を梃子とする経済連携の促進(勝俣宣夫副会長)(5)少子化対策の推進(渡文明審議員会議長)(6)防災・減災対策のさらなる強化(荻田伍副会長)(7)農業の競争力強化(三浦惺副会長)(8)今次労使交渉に向けた経営側の基本方針と最近の労働法制の動向(篠田和久副会長)――について、それぞれ経団連の取り組みを報告した。

一方、中国経連からは、(1)広域連携と防災・減災の推進(古瀬誠副会長)(2)アジアとの連携と空洞化への対応(金井誠太副会長)(3)持続可能な地域づくり(泉史博副会長)――についての活動報告があった。

エネルギー・環境政策、新産業創出と人材育成など

■ 意見交換

続いて、わが国経済の再生と中国地方の活性化に向けた施策をめぐり意見交換が行われた。中国経連からは、(1)エネルギー・環境政策(角廣勲副会長)(2)新産業の創出と人材育成(柏原伸二産業・技術委員会副委員長)(3)広域連携による観光振興(仁田一也観光文化委員会委員長)(4)ICTの利活用(黒田吉広情報通信委員会委員長)(5)税・財政・社会保障制度の一体改革(川住昌光理事)(6)地方分権改革と道州制の実現(末長範彦副会長)――について問題提起があった。

これに対し経団連からは、(1)雇用や国民生活を守る観点から、責任ある現実的なエネルギー・環境政策の再構築を働きかける(西田厚聰副会長)(2)イノベーション創出に向けて産学連携拠点の整備、わが国企業の海外展開を支えるグローバル人材の育成が必要(川村隆副会長)(3)訪日外国人へのビザ発給緩和等インバウンド観光の振興や広域連合への財源移譲を求める(大塚陸毅副会長)(4)介護、医療、交通、防災など分野を超えたICTの利活用や番号制度法案の確実な成立が不可欠(渡辺捷昭副会長)(5)税・財政・社会保障一体改革を推進する見地から、社会保障給付の一層の効率化・重点化、成長促進に資する分野への財政資源の重点配分を行うべき(石原邦夫副会長)(6)道州制基本法の早期成立や内閣への道州制推進本部の設置などを積極的に働きかける(畔柳信雄副会長)――とのコメントがあった。

◇◇◇

懇談会終了後、米倉会長と中国経連の山下会長は共同で記者会見を行った。会見での米倉会長の発言概要は次のとおり。

中国地方経済

地域経済の活性化に力を入れていくため、経団連では究極の改革として道州制を提言している。中国地方でも観光や医療などで県域を超えた協力を進めており、こうした広域連携を活かして、域内総生産を高めていけば、県のみならず基礎自治体の活性化にもつながると期待している。

TPP参加への期待

米国でさえ砂糖などセンシティブ品目を抱えるなかで、聖域なき関税の即時撤廃などはあり得ない。自公政権は堂々と国益、国民生活の観点からTPP参加を検討し、課題を克服して推進してほしい。経済界としては、できれば2月の首脳会談でTPP参加を表明してほしい。

【総務本部】