Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年3月7日 No.3122  新たな宇宙基本計画で説明聞く -宇宙開発利用推進委員会

経団連は2月22日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会(下村節宏委員長)を開催した。当日は、内閣府宇宙戦略室の西本淳哉室長から、新たな「宇宙基本計画」について説明を聞くとともに意見交換を行った。
西本室長の説明の概要は次のとおり。

■ 新たな宇宙基本計画

昨年7月に内閣府に宇宙戦略室が設置され、政府の宇宙開発利用の推進体制が整備された。現下の財政事情を踏まえれば、宇宙政策の重点化と優先順位付けが不可欠である。こうしたなか1月25日に、政府の宇宙開発戦略本部(本部長=内閣総理大臣)が、新たな宇宙基本計画を決定した。

これは今後10年程度を視野に置いた、2013年度からの5カ年計画である。基本的な方針は、宇宙利用の拡大と自律性の確保であり、安全保障・防災、産業振興、宇宙科学等のフロンティアの三つを重点課題としている。

基本方針を実現する四つの社会インフラとして、測位衛星、リモートセンシング衛星(観測)、通信・放送衛星、輸送システム(ロケット)を掲げた。測位衛星については、2010年代後半を目途に準天頂衛星の4機体制を整備する。リモートセンシング衛星については、「ASEAN防災ネットワーク構想」など海外を含め利用を拡大する。

また、将来の宇宙開発利用の可能性を追求するプログラムとして、有人宇宙活動プログラムなどを掲げた。国際宇宙ステーションへの参加のあり方を検討する必要がある。

同基本計画に関連して1月25日、安倍総理から、今年末に行われる防衛計画の大綱の見直しを踏まえ、安全保障政策と密接に連携することなどの指示が出された。

■ 宇宙関係予算

宇宙関係予算は、平成24年度補正予算案は417億円、平成25年度予算案は3218億円で合計3636億円となり、対前年度比で657億円増加したが、宇宙産業の発展には民需や海外需要の拡大が必要である。

■ 今後の取り組み

日本の宇宙機器産業の規模は約2600億円であるが、官需への依存度が約9割を占めている。官需から民需へ、国内から海外へ、供給者側から需要者側へという視点の転換が不可欠である。

<意見交換>

「コンポーネント(部品)メーカーに焦点を当てた計画についての考えを聞きたい」との委員の質問に対して西本室長は、「宇宙産業は裾野が広いので、コンポーネントの産業がしっかりしなければいけない。今後、宇宙政策委員会でも議論する」と答えた。

【産業技術本部】