Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年3月14日 No.3123  シンポジウム「日中関係の再構築~民間の果たすべき役割」を開催 -中日友好協会との共催で/約140名参加

米倉会長

王中日友好協会副会長

経団連は5日、東京・大手町の経団連会館でシンポジウム「日中関係の再構築~民間の果たすべき役割」を経済広報センター、中国日本友好協会と共催した。日中双方の企業関係者ら約140名が出席した。

冒頭、経団連の米倉弘昌会長と中国日本友好協会の王秀雲副会長があいさつ。米倉会長は、「中日友好協会との連携のもと今後、さまざまなプロジェクトを企画・実施することを通じて、民間主導の交流を深め、両国間の関係の早期改善とさらなる発展に向けた道筋をつけていきたい」との考えを示した。

その後、徐梅・中国社会科学院日本研究所経済研究室主任、藤原帰一・東京大学大学院教授、劉傑・早稲田大学社会科学総合学術院教授、高原明生・東京大学大学院教授が講演。(1)日中両国がアジア地域の大国として手を携えながら、アジア地域の経済統合を推進し、地域の安定と発展に貢献すべきこと(2)日中関係は単なる二国間関係にとどまらず、アジア地域や世界の安定にも影響を及ぼすことから、両国が国際的な視野を持って日中関係を考えるべきこと――などが指摘された。

■ パネルディスカッション

講演に続き、徐梅氏、劉傑氏、高原氏がパネリストを、藤原氏がモデレーターを務めパネルディスカッションが行われた。徐梅氏は、「経済は政治という前提の上にあるが、日中関係において経済は重要な役割を果たす」「日中間の貿易拡大は、両国政府間の妥協を引き出すきっかけになる」と指摘。劉傑氏は、「中国の自己認識のなかに常に日本がある」「領土問題の解決には長い時間を要し、歴史の和解のなかで解決するしかない」「日中友好のためには、領土問題を解決するための知恵が必要であり、その際、『大局』と『合意』という概念をもって検討すべき」「経済協力の関係強化は危機を回避する道の一つである。今後は知的交流を図り、アジア全体の知能共同体を拡大させていくべき」との考えを示した。

一方、高原氏は、「経済交流の発展は、日中関係の強靭性を強める」「領土の主権問題については“agree to disagree”すべき」「日中関係のネットワークづくりの主体は民間であり、経済、文化、社会面での交流は必ず日中関係にプラスとなる」と発言した。

これらの発言に対して藤原氏は、「経済と政治の間には、経済関係の強化が政治の安定につながるという直線的な矢印はないが、経済には政治関係の悪化をいくらか食い止める作用がある」「日中関係においては、経済関係の強化、民間交流が重要である」と総括した。

【国際協力本部】