Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年4月25日 No.3129  産業問題委員会ジャパン・ブランド部会が初会合開催 -政府のクール・ジャパン戦略に関して意見交換

経団連は、産業問題委員会(西田厚聰委員長、古賀信行共同委員長)の下にジャパン・ブランド部会(品田英明部会長)を設置し、11日、東京・大手町の経団連会館で初会合を開催した。

同部会の設置目的は、わが国産業の一層の国際展開の促進に向け、わが国産業の共通基盤となる「ジャパン・ブランド」の確立・強化、ならびに、国家としてのマーケティング・プロモーションのあり方について検討し、政府のクール・ジャパン戦略等の施策に経済界の意見を反映させていくこと。11日の初会合では、経済産業省の岸本道弘クリエイティブ産業課長、外務省の岸守一広報文化外交戦略課首席事務官から、両省のクール・ジャパンに関する取り組みについて説明を聞いた後、懇談を行った。

まず、経済産業省の岸本課長は、(1)コンテンツを通じて日本の魅力を効果的に発信し日本ブームを創出する(2)日本のコンテンツの専用チャンネルの確保や関連商品を販売する商業施設の展開支援等を通じて現地で稼ぐ(3)コンテンツや商品で日本に関心をもった外国人の日本観光を促進し日本国内での消費を促す――との同省の方針を説明。そのうえでコンテンツの海外展開に向け、2012年度補正予算で、総務省と連携して約170億円を確保しており、翻訳・字幕制作やプロモーション費用を政府が補助していくと強調した。また、日本のコンテンツ専用チャンネルの確保や関連商品を販売する商業施設の確保といった事業にリスクマネーを供給するため、政府が2013年度予算により500億円を出資してクール・ジャパン推進機構(仮称)を設置する予定であることを紹介した。

続いて、外務省の岸守首席事務官は、外交戦略のなかで、相手政府に働きかける伝統的な外交に加え、民間とも連携し外国国民や世論に訴えかける広報文化外交の重要性が増していると指摘。外務省としてもそのための体制を強化する一方、クール・ジャパンの国際展開にあたり、(1)国際理解促進の観点から文化価値の発信(2)現地の知日派や専門家への働きかけによる日本への関心の持続性・継続性の確保(3)在外公館を通じた事前の親日的環境の整備や事後のフォローアップ等を通じた政府のクール・ジャパン関連事業の効果の増大――の3点に注力すると説明した。あわせて、在外公館施設を活用した企業のプロモーション支援の事例も紹介した。

続く意見交換では、委員からクール・ジャパン戦略に基づく政府の企業支援を評価し、企業がこれを積極的に有効活用していくべきとの意見が出る一方、政府の取り組みの方向性や全体像が見えづらいといった指摘があった。

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同部会では、こうした委員の意見を急ぎ取りまとめ、内閣官房の「クールジャパン推進会議」、経済産業省の「クリエイティブ産業国際展開懇談会」において検討が進められている政府のクール・ジャパン戦略に関する施策への反映を目指すこととしている。

【産業政策本部】