Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年5月16日 No.3130  提言「質の高い日中韓FTAならびに東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期実現を求める」を発表

経団連は7日、提言「質の高い日中韓FTAならびに東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期実現を求める」を発表し、関係各方面に建議した。提言は、日中韓FTA交渉が今年3月末に開始していること、また、9日には、東アジア地域包括的経済連携(以下RCEP)交渉も立ち上げられたことから、これら交渉に経済界の意見を反映させるべく、会員へのアンケート結果を踏まえ、取りまとめたもの。
概要は次のとおり。

1.日中韓FTA

東アジアの経済統合に際しては、ASEAN+6のGDPの約7割を占める日中韓の間でのFTAの実現が喫緊の課題である。

  1. (1)物品貿易
    中国に関しては、貿易額ベースで、わが国の輸入の7割が無税である一方、輸出の7割が有税であることから、対応が急務である。
    提言では特に、鉄鋼、自動車、自動車部品、電気・電子機器、化学製品等、わが国の主要輸出品目の関税撤廃を求めている。

  2. (2)投資・サービス貿易
    金融・建設・流通・広告・通信等の主要サービス分野や、自動車・鉄鋼等の主要製造業分野における外資制限、清算・撤退等の規制、技術移転要求等の撤廃を求めるとともに、生産・流通・販売をつなぐサプライチェーンを念頭に、投資とサービスを不可分一体に扱うことが重要である。

  3. (3)国内規制
    現地で事業活動を展開する企業が直面している国内法上の諸問題を解決するために、政府・経済界の代表で構成される小委員会を立ち上げることを提案している。

  4. (4)エネルギー・鉱物資源
    中国にみられるレアアース等の輸出規制ならびに輸出関税の撤廃や、資源開発分野への投資の自由化に言及している。

2.RCEP

日中韓の三国に加え、域内統合を控えたASEAN、成長著しいインド、食糧・鉱物資源の供給基地である豪州、サービスの自由化に積極的なニュージーランドが参加するRCEPの実現は、アジア太平洋全体を包含するFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)構築への道筋における重要な要素である。

  1. (1)物品貿易
    自動車・鉄鋼・化学品・工作機械・家電等、既存の二国間EPAにおいて残存している関税の撤廃を要求している。

  2. (2)原産地規則
    締約国の原産品であれば自国の原産品として扱う完全累積ルールの導入を求めている。例えば、日本製の部品をASEANで組み立ててインドに輸出する場合、現状では、日本製の部品の付加価値が大部分を占めるため、ASEANが原産地とみなされず、ASEAN・インドFTAが活用できない場合があるが、完全累積ルールを導入することで、この点を改善できる。

  3. (3)税関手続
    既存の二国間EPA上の規程を補完するとともに、提出書類の共通化、データの共有等を推進し、物流の円滑化を図るべきである。

【国際協力本部】