Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年5月23日 No.3131  報告書「日本経済再生に向けた基盤整備」を公表 -事業環境の国際的イコールフッティング確保の必要性強調

経団連は22日、報告書「日本経済再生に向けた基盤整備」を取りまとめ、公表した。概要は次のとおり。

■ 金融・財政政策の評価と課題

第2次安倍政権発足以降、企業・消費者マインドは好転している。安倍政権の「三本の矢」のうち、1本目の矢である「大胆な金融政策」は、日本銀行が決定した量的・質的緩和により、企業が前向きな行動に転じる環境を整えた。2本目の矢である「機動的な財政政策」も当面の景気回復をサポートする。今後は、政府・日銀の密接な連携による為替レートの急変動抑制と、中期的な財政再建に向けた政府のコミットメントが課題となる。

■ 国際的な事業環境のイコールフッティングの実現に向けた五つの政策課題

3本目の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」は、個別産業・事業の育成や規制改革に注目が集まるが、これらに加えて、すべての産業に共通する次の五つの課題に真摯に対処することが不可欠である。

  1. (1)エネルギー・環境政策
    原発再稼働プロセスの加速化・石炭火力環境アセスの円滑運用、エネルギー政策と整合的な温暖化対策、固定価格買取制度と地球温暖化対策税の見直し

  2. (2)社会保険料負担
    社会保障給付の一層の効率化・重点化の推進、給付の税投入割合拡大

  3. (3)法人実効税率
    アジア近隣諸国並みの25%程度にまで引き下げ

  4. (4)経済連携協定
    国益に資するTPP(環太平洋経済連携協定)実現に向けた交渉の展開、日EU EPA(経済連携協定)の早期締結、FTTAP(アジア太平洋自由貿易圏)の完成に向けたRCEP(東アジア包括的経済連携協定)や日中韓FTA(自由貿易協定)の締結

  5. (5)労働市場
    労働者派遣制度の抜本見直しや労働時間制度改革、高度外国人材の受入促進など

■ 企業のイノベーション力の強化

民主導の持続的な経済成長に向けては、政府の取り組みに呼応して、企業が付加価値生産額の増加に努める必要がある。企業は自らのイノベーション力を強化し、魅力的な財やサービスを生み出し、新たな経済活動の地平を切り開いていく。

【経済政策本部】