Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年5月30日 No.3132  提言「財政健全化と効率的な財政運営に向けて」公表 -プライマリーバランス黒字化達成に必要な額の「見える化」を進め、財政再建のコミットメント強化

経団連は27日、提言「財政健全化と効率的な財政運営に向けて」を取りまとめ、公表した。提言の概要は次のとおり。

■ 財政健全化の重要性

安倍政権はいわゆる「15カ月予算」の考え方のもと、足もとで機動的な財政出動を行っている。これは、復興の加速化や景気の下支えといった喫緊の課題に対応するとともに、今後の財政再建に向けた経済基盤の強化にも資するものである。

他方、わが国財政は引き続き悪化の一途をたどっており、政府が目標に掲げる「2020年度までのプライマリーバランス(PB)黒字化」も、達成困難な状況となっている。こうしたなか、政府は近く、今後の経済財政運営の基本方針となる「骨太の方針」を取りまとめることとしており、経済界としても、あらためて財政健全化の重要性と取り組み強化を訴えていくこととした。

■ 成長戦略の実行と消費税率10%までの着実な引き上げ

昨年8月に成立・施行された税制抜本改革法により、消費税率が14年4月に8%、15年10月に10%まで段階的に引き上げられることとなった。しかし、引き上げにあたっては、経済状況の好転が条件とされている。そこで規制改革をはじめとする成長戦略を早期に実行することにより、わが国経済の成長力を強化するとともに、消費税率を着実に10%まで引き上げ、財政再建に向けた本格的な一歩を踏み出すべきである。

■ プライマリーバランス黒字化に向けた道筋の明確化

政府は、財政健全化目標を達成するための「中期財政健全化計画」を、今夏を目途に策定することとしている。そこで提言では、20年度までにプライマリーバランス(PB)黒字化を達成するために必要となる、トータルの要調整額および毎年度の収支改善額を「見える化」したうえで、PBの黒字化目標についても法制化し、財政再建のコミットメントを強化していくべきとした。

■ 社会保障をはじめとする歳出抑制・効率化の実行

社会保障分野における給付の効率化・重点化をはじめ、歳出抑制への継続的な取り組みも欠かせない。さらに、厳しい財政状況下で、財政支出を持続的な経済成長につなげていくためには、PFI(民間資金等活用事業)やPPP(官民パートナーシップ)の活用などを通じて、民間の活力・ノウハウを最大限に引き出していく視点も重要である。

■ 効率的な財政運営に向けたPDCAの改善

予算のPDCAサイクルの「C(チェック)」に当たる、政策の評価プロセスについては、予算編成との連携を強化することで、全体最適に基づく財政運営の管理・評価機能を強化していくことも可能となる。また、民間企業における業務プロセス改善(BPR)の視点を伴う電子行政を推進することで、行政の効率化および国民の利便性向上を実現し、財政再建に関する国民的な理解および納得を得ていく努力も欠かせない。

【経済政策本部】