Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年5月30日 No.3132  観光立国の推進に向けて井手観光庁長官と意見交換 -観光委員会

説明する井手観光庁長官

経団連の観光委員会(大塚陸毅委員長、山口範雄共同委員長)は22日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、井手憲文観光庁長官を招き、観光立国の実現に向けた政府の取り組みについて説明を聞くとともに、意見交換を行った。

井手長官は、「政府では、2013年の訪日外国人旅行者数1千万人という目標を達成するため、『観光立国推進閣僚会議』を新設し、省庁横断的に政府一体となった取り組みを進めている」と述べたうえで、観光庁が20日に公表した「観光立国推進ワーキングチーム中間とりまとめ」について説明した。
概要は次のとおり。

「中間とりまとめ」は、観光立国の実現に向けて、主に訪日外国人旅行の促進に関する新規性の高い施策を打ち出したもので、「知ってもらう」「来てもらう」「満足してもらう」「人と知恵、更には投資を惹きつける」の四つの柱で構成されている。

まず、「知ってもらう」では、12年の訪日外国人旅行者数が837万人と世界で30位、アジアで8位にとどまっている現状を踏まえ、オールジャパンの体制で訪日外国人旅行者増に取り組むべく、官邸に新たに設置された「国際広報強化連絡会議」等による訪日観光の魅力や日本ブランドの発信、「ビジット・ジャパン」「クールジャパン」「インベスト・ジャパン」などの計画的なプロモーションを促進するとしている。

「来てもらう」では、主にASEAN諸国からの観光客に対するビザ要件の緩和やロングステイを可能とする制度の導入、利用しやすい宿泊施設、交通機関にかかる情報提供の充実などに取り組むとした。加えてクルーズの振興も盛り込んでいる。

訪日外国人旅行者数の拡大のためには、旅行者が満足し、リピーターになってもらうことが大切であることから、「満足してもらう」では、自動化ゲートやファーストレーンの設置など出入国手続きの迅速化・円滑化を進めることとした。さらに、移動・滞在しやすい環境整備の観点から、多言語対応や宅配便を利用した「手ぶら観光」などを推進するとともに、免税制度のあり方についても検討することとしている。

また、「人と知恵、更には投資を惹きつける」においては、海外の人・知恵を呼び込む重要なツールである国際会議等のMICE(Meeting, Incentive, Convention, Exhibition)の誘致・開催の推進を盛り込んでいる。現状、国際会議開催件数におけるわが国のシェアが大幅に低下するなど、MICEにおける競争力低下が懸念されており、国をあげた一体的なMICE誘致体制の構築の必要性を訴えている。

■ 意見交換

意見交換では、経団連側から、「今後の訪日外国人旅行者の拡大のためには、ビザ要件の緩和などを通じてアジアからの観光客を引き寄せるとともに、地方において、受け入れ態勢の整備、魅力の向上を図ることが必要だ。『観光立県』に向けて、国と地域との連携が求められる」との発言があった。これに対し井手長官は、「ビザの要件について、アジア諸国に対しては韓国並みに緩和していく」「入国審査にかかるスタッフの充実など地方における外国人観光客の受け入れ態勢整備の重要性を認識している」「地方が持つ魅力を発掘し、きちんとアピールしていくことが重要だ」と応えた。

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当日は観光委員会の本年度の活動計画案ならびに同企画部会において取りまとめた「新たな成長を実現する大規模MICE施設開発に向けた論点整理案」についても、議論した。

【産業政策本部】