Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年5月30日 No.3132  復興の現状と課題<被災地視察報告>(3) -仙台塩釜港(宮城県仙台市)

前号に続き、被災地視察の模様について、今回は宮城県仙台市の仙台塩釜港(仙台港区)の状況を報告する。

復旧した埠頭では船舶の入出港や荷役が再開

対岸ではがれきを処理

破壊されたままの冷凍コンテナ

仙台塩釜港(仙台港区)は、コンテナ取扱港湾として東北港湾のコンテナ取扱貨物量の約6割を占めているほか、完成自動車の輸送拠点、フェリーによる国内流通拠点、臨海部の発電所等へのエネルギー供給拠点として、重要な役割を担っている。

東日本大震災による被害状況は、地震の揺れや津波により、埠頭は沈下し、岸壁も損壊、ガントリークレーン(コンテナなどの積み下ろしを行う大型クレーン)やベルトコンベア等の港湾施設も転倒・損壊した。また、コンテナターミナルではコンテナが散乱、一部は海上・海中に流出した。このほか防波堤全3385メートルの約9割に当たる3160メートルが被災し、港内静穏度が確保できなくなった。

港湾の一部スペースには、依然としてがれきや破壊されたコンテナが残されており、冷凍コンテナの一部からは異臭が漂っていた。こうしたコンテナは、いまだ持ち主に引き取られていないことから、処理ができずに困っているとのことである。

現在も一部の岸壁を暫定的に供用しており、まだ復旧に向けた工事が行われていたが、本格復旧を終えた岸壁を中心に、貨物船やフェリーなどが頻繁に入出港し、貨物の荷役を行う様子がうかがえた。セメントなどの復興需要や好調な新車生産などに支えられ、仙台港区の取扱貨物量は震災前の2010年を上回っている。

しかし、埠頭の一部では、狭い荷捌地に自動車、セメント、穀物などの貨物が混在し、慢性的な混雑状態が生じているほか、既存の岸壁の水深が十分でないために、大型貨物船は積荷を減らすなど、非効率な運搬を余議なくされている。このため、現在は岸壁の水深を深くするための整備を行っており、完全供用までにはさらに2年程度を要する状況にある。

次号では、小名浜港(福島県)の視察の様子を報告する。

【産業政策本部】