Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年6月13日 No.3134  企業会計・監査制度をめぐる今後の対応を聞き意見交換 -日本公認会計士協会の森次期会長から/企業会計委員会

経団連は5月28日、東京・大手町の経団連会館で企業会計委員会(釡和明委員長)を開催し、日本公認会計士協会の森公高次期会長から、「企業会計・監査制度をめぐる動向と今後の日本公認会計士協会の対応」について説明を聞き、意見交換を行った。森氏の説明の概要は次のとおり。

1.監査に対する社会からの期待への対応

日本公認会計士協会では、昨今の企業不祥事を踏まえ、会計監査および企業統治のあり方について検討するべく「監査制度充実強化調査会」を2012年1月に設置した。企業統治と外部監査との関係等、種々の課題について検討し、適宜法改正等に向けた働きかけを行っている。

また、監査における不正リスク対応基準の円滑な導入に向け、シンポジウムの開催を通じた会員への十分な周知、実務指針や監査契約書のひな型の見直しを通じた監査の品質の維持向上を図っている。

その他、監査の品質管理レビューの充実・強化等を通じた自主規制機能の強化にも取り組んでいる。

2.国際会計基準(IFRS)について

国際会計基準(IFRS)の適用はわが国経済の再生、資本市場の魅力拡大、海外投資家からの投資を一層呼び込むためにも必須である。ケーススタディーや実務上の問題にかかる研修を実施し、当協会としても人財育成を十分に行っており、IFRSに対する監査人の準備体制は整っている。

3.公的分野・非営利分野への貢献

地方公共団体の公会計について、現行の決算書では真の収益・費用情報、ストック情報が必ずしも把握できないことから、発生主義・複式簿記の導入、固定資産台帳の整備の必要性を訴えていく。

公会計や非営利分野では、会計基準が所管する行政機関ごとに存在することから、利用者視点に立ち会計基準の統一を進めていくことが必要である。

4.公認会計士試験の見直し

新試験制度導入後、合格者の未就職者問題や受験者数の減少問題が生じ、ひいてはわが国資本市場へ重大な影響を及ぼす可能性が生じている。今後の公認会計士法改正に向けて、基礎教育、実務経験、試験の組み合わせを検討し、あるべき試験制度を構築していく。

■ 意見交換

説明後の質疑応答では、不正リスク対応基準導入による実務への影響に関する質問に対し、「監査人としては、監査報酬をいただいている以上、経営努力、業務プロセスの合理化、効率化が必要と考えている。同時に、監査の品質を保つための取り組みが重要である」との説明があった。

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なお、意見交換の後、提言「今後のわが国の企業会計制度に関する基本的考え方」(案)の審議が行われ、承認された。

【経済基盤本部】