Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年7月11日 No.3138  日本ロシア経済委員会・日本NIS経済委員会、2013年度総会を開催 -アファナシエフ駐日ロシア大使を迎え
/4月の安倍首相ロシア訪問の成果や二国間経済関係の展望など説明聞く

説明するアファナシエフ駐日ロシア大使

経団連は3日、東京・大手町の経団連会館で、日本ロシア経済委員会・日本NIS経済委員会(岡素之委員長)の2013年度総会を開催した。来賓のアファナシエフ駐日ロシア連邦大使から、4月の安倍首相によるロシア訪問の成果および今後の二国間経済関係の展望等について説明を聞くとともに意見交換を行った。大使の説明概要は次のとおり。

日ロ関係は経済協力を中心に順調に発展

安倍首相のロシア公式訪問は、過去10年間の日ロ関係において最も意義深い出来事の一つといえる。両首脳は、日ロ関係の強化が、双方の国益に適うとの認識を共有し、互恵的な協力関係の一層の拡大と深化に取り組むことで一致した。

今後のさらなる協力関係の構築は、経済連携が基盤となる。今回の安倍首相の訪ロでは、エネルギー、都市環境、自動車、農業、輸送、金融、投資保険など多様な経済分野に関する覚書が交わされた。

両国の潜在力を活かし貿易・投資の拡大を

2012年の日ロ貿易額は対前年比13%増加し、史上最高の335億ドルを記録した。しかし、両国の主要な経済パートナーとの貿易と比較すると、露欧貿易額の12分の1、日中貿易額の10分の1、露中貿易額の3分の1の水準にすぎない。日ロが世界経済で果たす役割の大きさや隣国同士であることに鑑みれば、今後増加させなければならない。

他方、日本の対ロシア投資は上位10傑に入るものの、ともに拡大させていく方策を考えていく余地がある。「日露投資プラットフォーム」や貿易保険を活用し、日本企業の対ロシア貿易・投資がさらに発展するよう願っている。

多方面にわたる強固な経済関係の構築に向けて

ロシアにおける日本企業の活動の中心は、エネルギー分野である。現在、日本では多くの原子力発電所が停止するなか、天然ガス等の安定的なエネルギーの確保が課題となっている。今後、ウラジオストクやサハリンでのLNG工場建設、ヤマル半島のガス開発等を推進していきたい。ロシアはエネルギーを長期にわたり安定的に供給していく用意がある。価格については、今後10年で世界のガス需要が2倍になるとの予測も念頭に、双方が受け入れ可能な水準を探っていきたい。

エネルギー以外では、ロシア市場の成長を背景に、自動車分野への日本企業の進出が盛んである。多くの完成車メーカーが生産活動を行っており、うれしく思う。現在、複数の自動車部品メーカーがロシア進出を検討していることも重要である。また、(1)農作物の第三国への輸出を視野に入れた農業分野(2)機器の製造を含む医療分野(3)先進技術を活用したICT等の分野――などにおける協力も有望である。さらに、輸送分野にも多くの事業機会が存在しており、日本企業の参画を期待している。例えば、シベリア横断鉄道の近代化、モスクワ郊外の中央環状道路の建設、北極海航路の活用等である。

日本企業がロシアにおいて事業活動を行うにあたり、さまざまな問題があることも認識している。特に多くの要望が寄せられている通関について、新しい優遇制度を整備したい。これは、法を遵守し優良と認められた企業の税関手続きを短縮・簡素化するものであり、実現に向けて取り組んでいきたい。

【国際経済本部】