Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年9月5日 No.3144  事業継続性強化に向けた政府の取り組みをめぐり意見交換 -防災に関する委員会

左から柄澤共同委員長、橋本共同委員長

佐々木審議官

和泉課長

経団連の防災に関する委員会(橋本孝之共同委員長、柄澤康喜共同委員長)は8月26日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、内閣府の佐々木克樹内閣府大臣官房審議官(防災担当)および経済産業省の和泉章認証課長から、(1)事業継続ガイドラインの改定(2)災害対策基本法の改正(3)平成24年度補正予算による事業競争力強化モデル事業――について説明を受け、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

1.事業継続ガイドラインの改定(注)

ガイドライン改定の目的は、事業継続マネジメント(BCM)の普及啓発や運用にかかる内容の充実、災害等の教訓の反映、国際動向への留意である。そのため、章立てを再構築し、平時からのBCMの重要性を強調し、具体的にリスクの分析・評価を行うとともに、企業・組織間や地域内外での連携により代替戦略を規定すべきことを示した。また、サプライチェーン確保の重要性や事業継続にかかる国際規格との関係性に留意している。今後は、BCMへの取り組みのメリットを定量的に評価する測定指標について検討し、サプライチェーン等にかかる各主体間の連携の促進を目指す。

2.災害対策基本法の改正

今年6月の災害対策基本法の改正のポイントは、(1)住民の責務に備蓄等を明記(2)災害緊急事態の布告時における内閣総理大臣による各大臣の指揮監督(3)罹災証明書交付の制度化――等である。

3.平成24年度補正予算による事業競争力強化モデル事業

経済産業省では、BCMの先進的なモデルとなり得る地域・業界・サプライチェーン等の広域的なグループを公募・選定し、事業継続マネジメントシステムに関する国際規格等に基づき、各グループでの事業継続計画策定や演習実施等を全面的に支援している。今後、各グループの取り組みから成功に寄与した共通の要素を抽出し、事業継続能力評価指標の設計・共有化等を実施する。今年度は10月に中間報告会、来年3月に取りまとめ報告会を開催予定である。

<意見交換>

まず経団連から、「BCMへの取り組みに対する『投資収益率』のような指標を早期に作成してほしい」「BCMの推進に不可欠な人材の育成のあり方をうかがいたい。あわせて、規制緩和要望の検討を進めてほしい」「各社の現場が事業継続計画(BCP)に対応することが最重要。BCPの位置づけや訓練の重要性を強調してほしい」「モデル事業の成果を横展開すべき」との意見が出された。それに対し、内閣府から、「BCMの実効性を高めるべく、普及促進に向けた予算を確保し、今後も経団連と連携して、人材育成が企業戦略の一環となるよう啓発に努める。また、現場力をBCMの枠組みで利活用するべく、検討を進める。規制緩和についても各省と協力して対応したい」、また経済産業省から、「モデル事業の成果の周知を図るべく、関係各所との連携を密にしていきたい」との回答があった。

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防災に関する委員会では、引き続き政府と連携しながら、事業継続性の強化に向けた取り組み等を進めていく。

(注)事業継続ガイドライン(第3版)の詳細はホームページを参照
※URL=http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline03.pdf

【政治社会本部】