Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年10月3日 No.3148  第16回日本ブラジル経済合同委員会開催

発言する飯島委員長

経団連は9月23、24の両日、ブラジルのベロオリゾンテで第16回日本ブラジル経済合同委員会を開催した。日本側は飯島彰己委員長ら約110名、ブラジル側はアンドラーデ・ブラジル全国工業連盟(CNI)会長、マスカレーニャス委員長ら約300名が参加。膨大なインフラ需要が見込まれ、2億人の人口を擁し、中間所得層の台頭が著しいブラジルとの経済関係の強化が日本経済の活性化の観点から重要であるとの認識のもと、(1)日伯貿易投資関係の促進(2)インフラ整備(3)資源開発における協力――のほか、日伯EPAの可能性が初めて議題となった。

1.ブラジル経済

CNIから、ブラジル経済情勢について、昨年の成長率が0.9%まで落ち込んだが、投資の増加、レアル安に伴う輸出の拡大等によって今年は2.5%程度にまで回復する見通しが報告された。また、インフラ需要・消費旺盛な中間所得層の台頭等の潜在力を最大限引き出すため、複雑な税制の是正、労働者を過度に保護する労働法制の改正、教育やイノベーションの推進を通じて成長のボトルネックを解消する必要があるという点で日伯双方が一致した。

2.日伯貿易

過去10年間で日本の対ブラジル輸出は約2倍、輸入は約3倍に拡大、日本企業の進出は450社に達しているが、さらに貿易投資を拡大するためには、EPAの締結が選択肢の一つであるとの認識を共有した。

さらにブラジル産業界から、投資誘致・農産品(牛肉等)の日本市場へのアクセス・知的財産権保護等を目的に、日伯EPAの締結を検討すべきであり、来年7月を目途に両国経済界で報告書を取りまとめ、両国政府に働きかけたいとの提案があった。

経団連側は、TPPとRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の交渉を早期に妥結させることで、アジア・北米・南米をカバーする自由貿易圏の形成を目指しており、将来的には日伯EPAを締結し、南米最大の経済国を包摂していくことが重要である旨説明した。

他方、ブラジル政府からは、日伯EPAの締結のためには、まず、ブラジルと関税同盟であるメルコスールとの関係を整理する必要があり、ブラジルのみが第三国との関係で独自の関税表を採用することには慎重であるべきとの考えが示された。

3.インフラ整備

ブラジルではインフラ不足による高額な物流コストが投資を阻害しているため、例えば穀物や鉱物資源の集荷、鉄道による輸送、港湾からの積み出しなど、一連のサプライチェーンの確立が急務であるという点で一致した。

ブラジル側から鉄道インフラに関する12のコンセッション案件が提示された。今後は適正なリスク分担、日本の技術力が活かせるPPP(官民パートナーシップ)スキームの確立、ブラジル開発銀行と国際協力銀行の投融資機能の拡充等を図るとともに、日伯双方のニーズに見合った案件を絞り込んでいくことが重要であるとの認識が示された。

最後に飯島・マスカレーニャス両委員長は、今後の日本とブラジル経済の発展のため、両国が引き続き最大限の努力をしつつ、次回の合同委員会は来年9月を目途に東京で開催し、協力関係を継続することを確認した。

【国際協力本部】