Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年10月3日 No.3148  循環型社会の形成に向けた廃棄物処理法のあり方聞く -環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会

経団連は9月18日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会(山田政雄部会長)を開催した。当日は佐藤泉弁護士から、循環型社会の形成に向けた廃棄物処理法のあり方について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 廃棄物問題の基本

廃棄物問題は、容易に解決できない世界共通の課題である。ただし、技術進歩等により廃棄物の資源としての利用を進めれば、廃棄物問題は必ず解決できると思う。

そのために、まずは現在発生している廃棄物の量と質、特に量をコントロールする必要がある。なぜなら、どんなに廃棄物の質をコントロールしても、その利用先を確保できないほどの廃棄物が出てくれば、廃棄物問題は解決できないからだ。

同時に、動脈産業(生産・消費等にかかわる産業)と静脈産業(リサイクル等にかかわる産業)が信頼関係を持って、循環型社会の形成に取り組む必要がある。

■ 量のコントロール

汚泥・コンクリートガラなどの廃棄物は建設工事等により大量に発生するが、再利用できる性状にしたとしても、再利用先が限られ、在庫の過剰が生じている。循環型社会の形成の観点から、こうした再生品は、公共工事等で再利用されることが望ましい。しかし、行政は、公共工事等で汚泥等の再生品を積極的に活用しないケースが多く、その有効利用が進んでいない。

この問題を解決するためには、再生品のうち再利用先が限られているものについて、公共工事等での再利用を義務づける必要がある。現行の廃棄物処理法は、適正処理ばかりに焦点が当てられており、再生品の積極的な利用に対するインセンティブが非常に少ない。

■ 質のコントロール

廃棄物のなかには、資源として安定的に利用先を確保できるもの(プラスチック、木くず等)が存在する。しかし、これらの廃棄物は、廃棄物処理法上、運搬および品質の向上にあたってさまざまな許可を取得する必要がある。そのため、廃棄物の効率的な循環利用が阻害されている。

そこで、資源として安定的に利用先を確保できる廃棄物については、廃棄物処理法の適用を限定的にするべきである。

【環境本部】