Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年10月17日 No.3150  第21回日本トルコ合同経済委員会開催 -日・トルコEPA早期締結の重要性を確認

ムスタファ・セベル経済
副大臣(左)と釜委員長

経団連の日本トルコ経済委員会(釡和明委員長)は4日、東京・大手町の経団連会館でトルコ海外経済評議会(DEIK、メフメト・ヌレッティン・ペカルン日本経済委員長)と第21回日本トルコ合同経済員会を開催した。

今回の会合には、日本側から赤羽一嘉経済産業副大臣、トルコからムスタファ・セベル経済副大臣、セルダル・クルチ駐日大使を来賓に迎えた。日本側から約60名、トルコ側から約30名が参加し、日・トルコ経済連携協定(EPA)の早期締結の重要性、産業技術開発や共同研究における二国間協力の可能性、主要産業における事業機会等について議論を行った。

■ 日・トルコEPA交渉の早期開始

両政府による日・トルコEPAに関する共同研究の報告書が今年7月末に公表されたことを受け、双方から交渉入りに対する強い期待が寄せられた。

日本側からは、トルコ・韓国自由貿易協定(FTA)が発効したことにより、日本からの輸出品が競争力において韓国製品に劣後する状況となり、さらなるシェア低下への懸念が示され、日・トルコEPAの速やかな交渉入りの必要性が指摘された。

トルコ側は、EUとの関税同盟を念頭に置き、日・EU EPA交渉と並行して日・トルコEPAを進める必要があるものの、日・EU EPAに先んじて日・トルコEPAを妥結することは可能であり、トルコ政府として交渉入りの準備は整っていると説明した。

■ 産業技術協力や共同研究の可能性

トルコ側から、国を挙げた取り組みで研究開発費用、研究者数、論文件数の増加の説明に加え、日本企業の高度な技術の移転や、共同研究の実施に期待が示された。また、知的財産権や特許の広範囲な保護、侵害に対する強い抑止力についても説明があった。

日本側からは、両国が同じ地震国であることを念頭に、インフラ設備の耐震・免震技術の共有を進める意向が示されたことに加え、日本企業が参画するインフラ設備の建設現場が、技術者や大学からの視察先として取り上げられている事例が紹介された。

■ 主要分野における事業機会の拡大

エネルギー分野において、トルコ周辺諸国を含む地域でのエネルギー資源開発、省エネ・再生可能エネルギーの二つの部分に分け、協業の可能性について議論された。トルコ側から、両国は共通して国内のエネルギー需給が不均衡であることから同じ課題を抱えているとの指摘があり、原子力発電を含むトルコのエネルギー市場への進出の余地があることが強調された。

また、インフラ(橋梁・鉄道・空港建設等)、自動車・自動車部品、観光などすでに協力関係が長年にわたり構築されている分野に加え、医療・医薬品、食品・農業、機械・機械設備などの比較的新しい分野においても、今後の協力関係の発展に向けて意見交換が行われた。

約90名が参加した日本トルコ合同経済委員会

【国際経済本部】