Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年12月5日 No.3157  COP19や温暖化対策めぐる動向で経産省の片瀬局長と意見交換 -環境安全委員会

国連気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)が11月11日から23日まで、ポーランドのワルシャワで開催され、2020年以降の将来枠組みのあり方等をめぐる交渉が行われた。

そこで経団連の環境安全委員会(坂根正弘委員長、天坊昭彦共同委員長)は11月28日、東京・大手町の経団連会館で会合を開き、経済産業省の片瀬裕文産業技術環境局長から、COP19や温暖化対策をめぐる動向について説明を聞き、意見交換を行った。片瀬局長の説明概要は次のとおり。

■ 2020年以降の枠組みのあり方に関する議論

世界の温室効果ガス削減に関する2020年以降の国際枠組みに関しては、遅くとも2015年内に妥結することを目指し、国連交渉が行われている。

この枠組みのあり方として、米国は、すべての国が自主的な約束草案を提示し、情報共有のための国際協議を行うことを提案している。一方、欧州連合(EU)は、米国の提案に原則賛同しつつも、国際的な協議を踏まえ、各国がさらに野心的な目標へと修正する仕組みとすることを主張している。これに対して途上国は、先進国と途上国との間で差異が設けられている現状の維持や、先進国による資金支援を求めている。

今回のCOP19では、会期を1日延長し、徹夜の交渉が行われた結果、すべての国の参加を再確認するとともに、まずは各国が自主的に約束草案を提出する方式とすることが合意された。ただし、草案提出後の協議のプロセスに関しては、具体的な議論は進展しなかった。

今後のスケジュールとして、各国は2015年12月のCOP21に十分先立って、約束草案を提示することを招請されている。

■ 資金支援に関する議論

2009年のCOP15では、途上国に対して2020年に年間1000億ドルの資金支援を行うことが決定されている。

この長期目標に向け、COP19では、途上国が「2016年までに年間700億ドル」という中期目標を設定すること等を求めたが、決定文書には盛り込まれなかった。

■ 攻めの地球温暖化外交戦略等

国内で11月15日に開催された地球温暖化対策推進本部において、石原伸晃環境大臣は、原子力発電による温室効果ガスの削減効果を含めずに設定した現時点での2020年度の削減目標として、2005年比3.8%減とすることを報告した。また今後、エネルギー政策等の検討の進展を踏まえて見直し、確定的な目標を設定することとした。

あわせて「攻めの地球温暖化外交戦略」として、革新的な技術開発の促進に向けて5年間で官民合計1100億ドルの投資を目指すことや、3年間で二国間オフセット・クレジット制度の署名国を倍増させること、さらに2013~2015年度の3年間で官民合わせて1兆6000億円の途上国支援を行うこと等を発表した。

石原大臣は、COP19の閣僚級会合でのステートメント等において前述の内容を表明し、各国から一定の評価・理解を得た。また、二国間オフセット・クレジット制度に関しては、すでに署名済みの8カ国の代表が一堂に会する会合や、モンゴルとベトナムの閣僚ステートメント等において、高い期待が表明された。

【環境本部】