Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年12月5日 No.3157  横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校を視察 -サイエンス基軸に幅広い教養持った人間育てる/教育問題委員会企画部会

栗原校長

和田常任スーパーアドバイザー

経団連の教育問題委員会企画部会(岩波利光部会長)は11月21日、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校(横浜市鶴見区)を訪問した。同校は文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されており、慶應義塾大学や横浜国立大学等の大学との教育連携を推進し、高校から大学につなげる理科教育の内容・方法の研究や、高大連携教育を実践し高い評価を受けている。

■ サイエンスリテラシーを主眼においた教育

「自ら問題意識を持つ、考える」能力を育むため、同校ではサイエンスを基軸にした課題研究型授業を取り入れている。1・2年次必修の「サイエンスリテラシー」(週2時間)では、1年次に大学教員やノーベル化学賞を取得した研究者による講演等で科学を志す者としての心構えを学ぶとともに、先端科学技術5分野(生命科学、環境・化学、ナノテク材料・物理、情報通信・数理、地球科学)の実験・実習を少人数グループで行い、あわせてコミュニケーション英語の授業を通じてプレゼンテーション技法を学ぶ。2年次には、各自が決めたテーマに関する課題研究を行い、その結果を生徒が一堂に会した場で発表するほか、優秀者には海外でその成果を英語でプレゼンテーションする機会を設けて、国際的感覚を育んでいる。

学内には、電子顕微鏡やDNAシーケンサー、天体観測ドームなどの設備もそろっている。教師はまず生徒の持つ発想力を十分に引き出すかたちで、それぞれの課題に合った実験内容や使用する設備について助言。生徒たちはそれらに従って、それぞれの課題の解決に向けて熱心に、かつ楽しそうに取り組んでいた。

懇談では、経団連側から、「科学を通じた人材育成が見事であり、こうした教育がほかにも広がることを期待したい」と述べたのに対し、同校の栗原峰夫校長は、「パイオニアとしての自覚は十分ある。日本の理数教育の将来に向けて、SSHとしての成果を出していきたい」と意欲を語った。

また最後に、同校の常任スーパーアドバイザーである和田昭允氏(理化学研究所研究顧問)は、「生徒には、一つ上の自分を目指せと教えている。世界で活躍できる人材は、人のための人であってほしい」と語った。

【社会広報本部】