Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年12月19日 No.3159  気象衛星の現状と今後の展望を聞く -宇宙開発利用推進委員会企画部会・宇宙利用部会合同会合

経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で、宇宙開発利用推進委員会企画部会(笹川隆部会長)・宇宙利用部会(西村知典部会長)合同会合を開催した。気象庁観測部気象衛星課の大林正典課長から、気象衛星の現状と今後の展望について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ 気象庁の任務と静止気象衛星の役割

気象庁の任務は、気象、地震、火山、海洋などの観測データを分析し、気象情報や地震、津波、火山の情報などを国民や関係機関に提供することである。

観測システムには、衛星観測、地上観測、レーダー気象観測等がある。静止気象衛星は、上空(宇宙空間)から、広域を対象に、24時間365日不休の観測を行うものである。

■ 静止気象衛星「ひまわり」

静止気象衛星「ひまわり」は1977年に初号機が打ち上げられ、2010年からはひまわり7号が運用されている。静止気象衛星が貢献している分野として、防災、国民生活、環境、交通安全などが挙げられる。

世界的には、日本、アメリカ、ヨーロッパだけでなく、韓国、中国なども気象衛星を保有し、観測網ができ上がっている。ひまわりのデータは、日本だけでなくアジア・太平洋地域の国々において防災のために使われている。

■ 「ひまわり」による観測

気象業務においては、数値予報という手法を用いている。これは、特定の時刻の大気の状態を数値的に解析し、物理法則に基づいて変化を定量的に求めることで、将来の状態を予測する手法である。数値予報の精度を向上させることは、天気予報の確実性を高めることにつながる。

ひまわりは、地震観測にも寄与する。地震が発生した際は、衛星回線は地上回線のバックアップとなる。また、津波の計測ができる潮位計のデータをひまわりが収集し、全世界に配信することができる。

■ これからの「ひまわり」

今後は、ひまわり8号の14年の打ち上げ、15年からの運用を計画している。また、16年にはひまわり9号(軌道上予備機)を打ち上げ、当面は待機させる予定である。

こうした次期静止気象衛星においては、センサーの分解能が向上し、解像度が倍増する。また、防災のための監視機能を強化し、台風や集中豪雨などの観測情報をより精密かつ早く提供できることが期待できる。

【産業技術本部】