Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年12月19日 No.3159  日EU・ICTセキュリティワークショップで意見交換 -セキュリティ政策に関する継続的対話の重要性を確認

スタンチッチ氏(左)と武山部会長

ブリュッセルの欧州委員会通信総局本部で3日、「日EU・ICTセキュリティワークショップ」が開催された。同会合は、セキュリティ政策や技術の共同研究等に関する官民の情報交換を行う場として、日EUの政府間関係者、産業界の参加のもと行われたもの。日本からは総務省、内閣官房情報セキュリティセンター、経済産業省が出席、経団連からは、日本の産業界を代表して情報通信委員会の武山芳夫企画部会長らが出席し、意見交換を行った。

■ 日EUの積極的取り組みへの期待

武山部会長は、経済活動におけるインターネット利用の重要度が高まるなか、自由でグローバルな情報流通の促進とセキュリティの確保に向け、日EUが官民連携を行うことには大きな意義があると、同会合を評価。さらにこの観点から、(1)自由なインターネット環境の確保(2)情報セキュリティへの取り組みにかかわるベストプラクティスの共有(3)個人データの保護と自由な情報流通の間のバランスの確保(4)越境サイバー攻撃に関する国際的な協力体制の整備(5)日EUの定期的な意見交換――が重要課題として挙げられると指摘した。日EUの率先した取り組みが、将来的に多国間での取り組みにつながるとの期待を示した。

■ セキュリティ確保には政府・産業界の情報共有が重要

続いて、経団連インターネット・エコノミー作業部会の梶浦敏範主査が、10月に取りまとめられた「日米インターネット・エコノミー民間作業部会 共同声明2013」の内容を紹介した。そのなかで「インターネット技術の拡大に伴い急速に増大するハッキングやウイルスなどのリスクに対処するため、政府と産業界が情報を共有する必要がある。また、インターネットやその利用形態であるクラウドコンピューティングが普及し、社会インフラや企業などさまざまな機関の間で情報が共有・流通されることで、イノベーションを創出し、より安全で効率的なライフスタイルを支えることを期待する」と述べた。

これに対し、欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局のスタンチッチ次長は、EUにおける現在の取り組みを説明するとともに、「グローバルな問題に対処するためには、国際的かつ多面的な協力が必要である。安全で開かれた社会のなかで、インターネットによってもたらされるメリットを拡大させることが、経済的かつ社会的な発展につながる。そのためには、セキュリティ政策のレベルアップに向けた継続的対話への努力が必要である」との考えを示した。

【産業技術本部】