Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年3月6日 No.3168  第42回中国地方経済懇談会を山口県宇部市で開催 -「活力溢れる日本の創出と中国地方の持続的発展を目指して」を基本テーマに意見交換

あいさつする米倉会長

経団連(米倉弘昌会長)と中国経済連合会(中国経連、山下隆会長)は2月20日、山口県宇部市内のホテルで「第42回中国地方経済懇談会」を開催した。経団連から米倉会長はじめ審議員会議長、副会長らが、中国経連からは山下会長はじめ会員約240名が参加し、「活力溢れる日本の創生と中国地方の持続的発展を目指して」を基本テーマに、活動を報告するとともに懇談した。

開会あいさつのなかで中国経連の山下会長はまず、中国地方の経済について、アベノミクスにより、この1年間景況感や有効求人倍率等が改善しており、明るい見通しとなっていると述べた。また、中国地方の最大の課題として、グローバル競争の激化や人口減少・高齢化の進展のなか、地域産業の競争力強化を図っていくとの決意を示した。そのうえで、中国経連は、事業活動の柱として、地域産業の振興、社会基盤整備の促進、そして地域の自立・一体的な発展を掲げ、取り組みを進めている旨述べた。

続いてあいさつした経団連の米倉会長はまず、わが国経済が、安倍内閣による一連の経済政策が功を奏し、大企業から中小企業まで幅広い業種で業況の改善が進み、雇用者数も1年超にわたり増加傾向が続く等、着実に回復を続けているとの認識を示した。こうしたなか、今年の最大の課題は、上向きはじめた日本経済をデフレから完全に脱却させ、持続的な成長軌道に乗せていくことであり、経済界が新たな成長の実現に全力で取り組み、日本経済の再生を主導しなければならないとの決意を述べた。そのうえで、経団連としても、「未来都市プロジェクト」等を通じたイノベーションの促進、グローバル人材の育成、女性の活躍支援に向けた取り組み等を積極的に展開していくと述べた。あわせて、政府に対し、震災復興の加速や成長戦略の実行、とりわけ、新しい技術の活用推進やエネルギー供給の安定と経済性の確保、TPP(環太平洋経済連携協定)をはじめとする経済連携の実現、税・財政・社会保障改革等を求めていくとの意向を示した。

■ 活動報告

第1部の活動報告では、まず経団連側から、(1)当面の経済運営(奥正之副会長)(2)財政政策のあり方(石原邦夫副会長)(3)社会保障制度改革のあり方(斎藤勝利副会長)(4)今次労使交渉における経営側の基本姿勢(宮原耕治副会長)(5)グローバル人材の育成(川村隆副会長)(6)TPPをテコとする経済連携の促進(勝俣宣夫副会長)(7)女性の活躍推進(大宮英明副会長)(8)農業界と経済界との連携・協力強化の取り組み(三浦惺副会長)(9)国土強靭化の実現に向けて(渡文明審議員会議長)(10)雇用・労働法制をめぐる動向(篠田和久副会長)――について、取り組み状況をそれぞれ報告した。

一方、中国経連側からは、(1)地域産業の競争力強化に向けた取り組み(金井誠太副会長)(2)交通・物流基盤整備による地域経済の活性化と強靭な国土づくり(福田浩一副会長)(3)人口減少・高齢化時代の地域社会の再生・活性化(泉史博副会長)に関する取り組み――について報告があった。

■ 意見交換

第2部の意見交換では、中国経連から、(1)日本経済再生に向けた成長戦略(2)今後のエネルギー・環境政策のあり方(3)観光振興への取り組み(4)地域社会のスマート化に向けたICTの利活用(5)地方分権型道州制の実現――の5点について問題提起があった。

これに対して経団連からは、(1)2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催までの期間を持続的成長の礎を築くための「集中対応期間」と位置づけ、その力強い経済成長が続くよう、官民ともに取り組むべき(石原副会長)(2)中長期のエネルギー政策について、原子力はエネルギー源の多様性の確保等の点からも重要な電源として位置づけるべき。あわせて、再生可能エネルギーについて、固定価格買取制度は早急に抜本的な見直しが必要。また、環境政策について、二国間オフセット制度の署名国を増やすべく、官民一体で取り組んでいく(坂根正弘副会長)(3)今後、地方へ外国人旅行客をさらに呼び込むためには、地域の魅力を再度見直すことにより、外国人目線に立った魅力あるサービスの提供を実現するとともに、広域連携を図り、ゲートウエーとなる地域からのルートをつくることが重要(大塚陸毅副会長)(4)データの利活用をプライバシー保護と両立させるために、制度のグレーゾーンの解消等を政府へ要望する。また、電子行政の推進に伴い、IT利活用等に取り組む人材育成の強化が必要(斎藤副会長)(5)道州制の実現へ向けて、各地方の経済界や道州制を強く訴える知事や市長の有志と一層の連携を図り、政治への働きかけを強化したい(畔柳信雄副会長)――とコメントがあった。

懇談会には中国経連の会員約240名が参加した

【総務本部】