Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年3月6日 No.3168  ドイツにおける産学官連携の現状で説明聞く -小宮山三菱総研理事長から/産業技術委員会企画部会

講演する小宮山理事長

経団連の産業技術委員会企画部会(須藤亮部会長)は2月19日、東京・大手町の経団連会館で小野寺正共同委員長の進行のもと会合を開催し、三菱総合研究所の小宮山宏理事長から、「ドイツにおける産学連携の現状」について説明を聞いた。

まず、小宮山理事長は、ドイツ工学アカデミー(アカテク)の取り組みについて説明。「アカテクでは、『Energy, Resources and Sustainability』『Education and Technology Communication』『Technologies』の三つのキートピックを掲げ、ドイツにおける価値と雇用の創造を目指している」「ドイツの科学技術イノベーションに関する骨太戦略である『ハイテク戦略』では、新たな雇用の創出に向け、中小企業(SMEs)の支援に力を入れている。科学技術イノベーション政策のなかでも、雇用の創出という点を重視しているのが特徴」と述べた。

次に、「Industry4.0」の概要について言及。「『Industry4.0』は、ICTを基盤に第4次産業革命を起こすというもの。『Internet of things』という概念のもと、モノとサービスのスマート化を図ろうとしている」と説明したうえで、「ドイツで関係者から直接話を聞いてきた限りでは、具体的な内容が詰めきれておらず、他国で考えている戦略と現時点では大きな差異がない印象である」との見解を示した。

また、これに関連して、「私がガバニング委員長を務める文部科学省の『革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)』(注)でも、『Internet×3Dプリンター』というICTを基盤とする新たな取り組みを進めている」と説明した。

最後に、今後の日本に必要な視点について言及。「地球規模問題と超高齢社会に同時に対応しながら、QOL(生活の質)の向上を追求する『プラチナ社会』の実現を目指すべき。文科省のCOI STREAMなどを通じて、QOLの向上に資するイノベーションを促進したい」「日本は、ベンチャー創出という視点が弱い。新たな雇用を生み出す源泉はベンチャーであり、大企業ももっとベンチャーへ投資すべき」と主張した。

(注)革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)=産学連携によるビジョン主導型の研究開発プログラム。既存の概念を打破し、これまでにない革新的なイノベーションを創出するイノベーションプラットフォームを整備することが目的。2013年10月に12拠点を採択

【産業技術本部】