Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年3月13日 No.3169  「中堅・中小企業海外展開支援シンポジウム」を開催 -アジア地域進出の成功の秘訣を探る

あいさつする高原委員長

経団連の中堅・中小企業委員会(高原豪久委員長)は5日、2013年5月に公表した報告書「中小企業のアジア地域への海外展開をめぐる課題と求められる対応」のフォローアップの一環として、東京・大手町の経団連会館で「中堅・中小企業海外展開支援シンポジウム~アジア地域進出の成功の秘訣を探る」を開催し、約100名の来場者が熱心に議論に耳を傾けた。

第1部のパネルディスカッションでは、坂本光司・法政大学大学院政策創造研究科教授をコーディネーター、海外展開を積極的に進めている中小企業4社(大田精工、シロク、奈良機械製作所、フジ矢)をパネリストとして、中堅・中小企業がアジア地域進出を成功させる秘訣について議論した。

坂本教授の「海外展開でまず必要となるものは何か」との問いに対し、パネリストからは、「社内外を問わず海外実地を任せられる人材の育成・確保」「徹底した現地市場調査と自社製品の現地での競争力の有無」「胸襟を開き、現地人材を信頼すること」「トップの決断力と行動力」など、さまざまな点が指摘された。また、進出先の選定基準については、「顧客からの要請と新規取引先開拓の可能性」「人脈の有無と日本と考え方が近いこと」「最先端の技術があること」「親日的であり、一緒に進んでいけるという肌感覚」といった点が紹介された。さらに、進出先で直面した問題として、「信頼できる現地人材の確保」「異なる考え方や習慣への対応」などの点が報告された。海外展開支援施策への要望としては、「人材・ビジネスマッチングの強化」「融資制度の拡充」「現地における最新の税務関連情報などのタイムリーな提供」などがあげられた。

パネルディスカッションの総括において坂本教授は、「海外展開は進出先も国内も幸せになるようなwin‐winの関係を築くことが重要」と述べ、誰かの犠牲のうえに成り立つ経営は長続きしないとの持論を披露した。

第2部ではまず、梁嶋利道・中小企業庁経営支援部新事業促進課長から、現在公募中の「海外展開実現可能性調査支援事業」や「海外展示会への出展支援」など、政府の海外展開支援体制について説明を聞いた。

続いて、吉村章・台北市コンピュータ協会駐日代表から、企業の海外展開における成功事例の共通点や、日本企業がつまずきやすいポイントに加えて、アジア企業と日本企業の橋渡し役を担うブリッジコーディネーターの有効活用の重要性について聞いた。

海外展開を積極的に進める企業によるパネルディスカッション

【産業政策本部、労働政策本部】