Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年3月13日 No.3169  日EU EPA交渉の現状と展望について説明を聞く -ヨーロッパ地域委員会

経団連は2月26日、東京・大手町の経団連会館でヨーロッパ地域委員会(横山進一共同委員長、小林喜光共同委員長)を開催し、長嶺安政外務審議官、田中繁広経済産業省通商政策局通商機構部長から、日EU EPA(経済連携協定)交渉の現状と展望について説明を聞いた。
説明概要は次のとおり。

■ 長嶺外務審議官説明

昨年11月の日EU定期首脳協議では、日EU EPAの早期締結に向けた強いコミットメントが示された。欧州との経済連携は、日本の成長戦略における重要な柱であり、今年1月に開催されたダボス会議の基調講演でも、安倍首相は、日EU EPAをTPP(環太平洋経済連携協定)と並ぶかたちで推進していくと述べた。

交渉は昨年4月に開始され、今年1月末に第4回交渉が開催された。物品貿易に関して、双方の関心品目およびそれらへの対応について緊密に議論を行い、非関税措置に関するわが国の取り組み状況を説明するとともに、日本企業が欧州で直面する規制上の問題の改善等について提起し、議論を実施した。

今年4月中旬以降、交渉は特に重要な節目を迎える。交渉開始1年を迎え、EUはわが国の取り組みを「見直し」、交渉継続の是非を判断することになる。一義的には、欧州委員会が加盟国に進捗状況を説明する内部的な手続きであるが、加盟国の理解を得て交渉が継続されるよう、日本としても働きかけていくため産業界におかれても引き続き後押ししていただければ幸いである。第5回交渉は、「見直し」直前の3月末から開催されるが、ここでどの程度の進展がみられるかが重要となる。

■ 田中通商機構部長説明

今年5月に欧州議会選挙が実施され、10月には欧州委員の任期が満了を迎え、日EU EPA交渉を立ち上げた現首脳陣が交代する。その一方で、2016年7月には、EU韓国FTAのもとで韓国に対するEUの自動車関税がゼロとなるなど、EU市場における日本製品の競争条件はさらに厳しいものとなる。EUの政治日程にも留意しつつ、今後のスケジュールで山場となる「見直し」を着実に乗り越え、交渉のスピードをさらに加速化させることが重要となる。

昨今、EUでは日本企業のビジネス活動に影響を与え得る新たな規制案が検討されている。例えば、相手国の公共調達市場の開放が不十分でEU市場との相互性を欠いていると判断される場合、EUの運用によっては当該国企業がEUの公共調達市場から排除され得るという指令が今年1月に成立している。

EUにおいては、日本市場は閉鎖的との固定観念が根強く残っているのが現実であり、交渉進展のためには、欧州経済界に日本の取り組みが理解され、日EU EPAへの支持が広がることが重要である。その意味で、経済界においては、3月4日の日EU業界対話会合を含め、引き続き欧州経済界と産業間の対話をさらに深めてほしい。

【国際経済本部】