Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年3月20日 No.3170  中国におけるPM2.5に関する説明・相談会開催 -環境省と経団連が共催

経団連および環境省は11日、東京・大手町の経団連会館で、中国におけるPM2.5に関する説明・相談会(座長=梶原泰裕環境安全委員会環境リスク対策部会長)を共催し、各分野の専門家から説明を聞くとともに、質疑応答を行った。概要は次のとおり。

■ PM2.5の現状と環境省の取り組み

PM2.5は、直径が2.5マイクロメートル未満の粒子の総称であり、健康への影響等が懸念されている。今年1~2月、日本でのPM2.5濃度は1立方メートル当たり50マイクログラム以下で安定していたが、中国では450マイクログラムに達することもあった。
中国政府は、大気汚染対策を国家的な課題と位置づけ、昨年9月、大気汚染防止行動計画を公表した。
環境省では、昨年12月、今後の中国在留邦人対応の強化等を内容とするPM2.5政策パッケージを取りまとめた。

■ 健康への影響と対応(迎寛・産業医科大学教授)

米国では1970年代後半からPM2.5のモニタリングが開始され、93年には死亡率との関係が報告されていた。最近になって中国の大気汚染状況や越境汚染を示す指標として取り上げられ、わが国でも注目を集めるようになった。
肺の奥に到達したPM2.5は、免疫系の細胞が異物と見なして貪食・排除を行う。しかし、その際、炎症性の物質が副次生成され、血液によって運ばれ全身に影響を及ぼすと考えられている。
身体への影響については個人差があるため、健康状態をもとに、自分に合った基準を把握する必要がある。特に、高齢者、呼吸器疾患・基礎疾患がある人等は要注意である。

■ マスク利用時の留意事項等(日本衛生材料工業連合会)

マスクの性能には限界があるが、一定割合でもPM2.5を除去できれば、長期的な身体影響の緩和が可能であり、使用することが望ましい。
マスクには、防塵規格マスク、家庭用、医療用があり、防塵規格のN95マスクは、0.3マイクロメートルの粒子を95%除去できる。家庭用マスクの基本的機能は保湿・保温と防寒であるが、正しい着用法を守ることで一定の効果が得られる。

■ 空気清浄機利用時の留意事項等(日本電機工業会)

家庭用空気清浄機は、部屋の空気を循環させながら徐々にPM2.5等を取り除く効果があり、人の集まるリビングへの設置が適している。
工場等の大きな事業所では、HEPAフィルターと呼ばれる高性能フィルターを空気取り入れダクトに設置するほうが効果的な場合もある。
当工業会では性能試験を実施しており、基準を満たした製品には所定の表示を行っている。

■ 主な質疑応答

参加者からの「PM2.5に関する基準が日中両国で異なっているが、在留邦人はどちらを参考にすればよいか」との質問に対し、環境省は、「WHOが複数の指針値を示しており、両国政府の対応が異なっている」と説明したうえで、「身体への影響には個人差があるため、一律の基準を設けず、Q&A集やガイドライン作成等を検討していく」と回答した。

【環境本部】