Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年4月3日 No.3172  訪オーストラリア・ニュージーランドミッション派遣 -アジア太平洋地域の経済統合などで懇談

経団連(米倉弘昌会長)は3月16日から22日にかけて、オーストラリア、ニュージーランドに米倉会長を団長とするミッションを派遣した。ミッションには審議員会議長、副会長8名、審議員会副議長2名を含む、総勢46名が参加した。

一行は、オーストラリアではトニー・アボット首相、アンドリュー・ロブ貿易・投資相、イアン・マクファーレン産業相、ジュリー・ビショップ外相、Business Council of Australia と、ニュージーランドではジョン・キー首相、ビル・イングリッシュ副首相兼財務相、ティム・グローサー貿易相、クレイグ・フォス商務相、ネイサン・ガイ第一次産業相、サイモン・ブリッジズエネルギー・資源相、Business NZ との間で、アジア太平洋地域の経済統合や二国間経済関係の強化をめぐり意見交換を行った。

キー・ニュージーランド首相(前列右から5人目)を訪問する一行

■ アジア太平洋地域の経済連携の推進で一致

訪問先では、経団連側から、環太平洋経済連携協定(TPP)ならびに日豪経済連携協定(EPA)の早期締結、そして2020年までのアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築の必要性について説明し、両国の政財界首脳から強く賛同する意が表明された。

ニュージーランドのキー首相からは、同国にとってTPPは、米国との自由貿易協定(FTA)とわが国とのFTAの実現という二つの側面から重要との指摘があった。グローサー貿易相からは、TPPを質の高い協定とする必要性について言及があったとともに、同国のワイン産業が少量高品質に特化したことで自由化のなかでも競争力を高めた事例について説明を受けた。Business NZ のメンバーとは、TPPは両国のビジネスに新たなチャンスをもたらすと同時に、FTAAP実現に向けた梃子としても重要との認識で一致した。

オーストラリアのアボット首相からは、日豪EPA締結に対する強い期待が表明され、EPAは両国関係の強化につながるとの指摘があった。ロブ貿易・投資相からは、日豪EPAを高い水準で合意することができれば、わが国の貿易自由化に対する決意を他のTPP交渉参加国に示すシグナルとなり、TPP交渉の加速化という相乗効果も期待できるとの見解が示された。Business Council of Australia のメンバーとは、日豪EPA交渉の早期妥結と、TPPや東アジア包括的経済連携(RCEP)を重要な道筋とするFTAAPの早期実現とで一致した。

■ 二国間経済関係の拡大・深化は重要な課題

ビショップ・オーストラリア外相(左から2人目)
を訪問する米倉会長ら

訪問先では、オーストラリア、ニュージーランドとの経済の緊密化に向けて、すでに重要な貿易分野である資源・エネルギー、食料に加え、新たな分野での協力をめぐり意見交換が行われた。

オーストラリアのマクファーレン産業相からは、ハイテク産業や高付加価値産業、科学技術分野での協働に期待が示された。経団連側からも、省エネルギーや地球温暖化対策、インフラプロジェクトなどでの協力について言及し、大いに関心が示された。またビショップ外相からは、アジア太平洋地域との関係拡大を図るイニシアティブとして、オーストラリアの大学生に同地域での留学やインターンシップの機会を提供する「新コロンボ計画」への協力依頼があった。

ニュージーランドでは、フォス商務相はじめ経済閣僚や Business NZ との間で、地熱発電などの再生エネルギー、震災の経験を踏まえた都市づくり、人的交流と相互理解促進につながる観光などの分野において、協力を進めることが可能と確認した。

【国際経済本部】