Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年4月17日 No.3174  提言「わが国企業の競争力強化に向けて」を公表 -電力制約への対応・アジア市場での競争力強化に求められる施策を提示

アベノミクスの成果などを背景に、日本企業の足もとの業績は改善している。他方、少子高齢化に伴う国内需要の縮小・成熟化、為替・金利の急激な変動、電力制約・環境規制、重い公的負担など、国内の事業環境は依然厳しく、先行きへの不安は払拭できない状況にある。

そこで経団連(米倉弘昌会長)は、日本企業が中長期的に競争力を維持・強化するための方策について検討を開始し、その第1弾として、喫緊の課題である「電力制約の克服」と「アジア市場での競争力強化」への対応策について提言を取りまとめ、15日に公表した。提言の概要は次のとおり。

1.企業の電力制約への対応と求められる施策

東日本大震災に端を発した電力供給の不安定化や燃料調達費負担の増加、電力料金の上昇等は企業活動に多大な負担を強いている。各社の自助努力は限界近くにまで達しているとの声も多く、電力制約が長引けば、電力多消費型の産業を中心に、国内事業活動の再編や海外展開が本格化する懸念がある。政府は至急、電力を経済的な価格で安定的に供給できる環境を整備する必要がある。

他方、電力・エネルギーの確保はグローバルな課題であり、この課題を解決できれば、日本企業は世界に先駆けて省エネ・創エネなどの技術や製品、ノウハウ等を世界に展開することで、新たな市場を獲得することも可能となる。そこで、企業が省エネ技術や製品、システムの研究開発活動を積極的に進められるようインセンティブの強化をはじめ、再生可能エネルギーのコスト低下につながる技術革新への支援、企業の節電・省エネに対する取り組みを後押しするための施策を十分に講じることが求められる。さらに、海外での市場獲得に向けて、官民一体となった取り組みを推進しなければならない。

2.アジア市場での競争力強化に求められる施策

グローバル競争が激化するなか、世界の成長センターであるアジアは市場としても生産拠点としても極めて重要である。日本企業は、アジアでの競争力強化に向けて、(1)日本の付加価値創出力の向上(2)アジア域内でのサプライ・チェーンの強化――が求められる。

日本の付加価値創出力の向上については、大胆な規制改革、法人実効税率の引き下げ、社会インフラの整備などを通じた事業環境の国際的なイコール・フッティングが不可欠となる。同時に、イノベーションの推進に向けて、(1)企業の研究開発支援や政府の科学技術政策の強化(2)知的財産法制の改革(3)グローバル人材や理工系人材の育成(4)多様で柔軟な労働環境の整備――などに取り組むことが重要である。

アジア域内のサプライ・チェーンの強化については、ヒト・モノ・カネ等が自由に移動できるシームレスな環境整備に向けて、FTAや租税条約・社会保障協定の締結推進、各種インフラの整備を進めるとともに、環境・省エネ、安全等に関する規制や基準のアジアでの導入に向けた取り組みなどが大事である。また、アジアにおける日本企業の生産・販売を支援するため、中堅・中小企業の海外展開を支援するとともに、日本の文化・商品・サービスに対する需要の開拓や、ビジネスの前提となる良好な外交関係の維持が求められる。

※全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/027.html 参照

【産業政策本部】