Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年5月15日 No.3176  一層のグローバル化進展のなかでの国家ブランド戦略のあり方聞く

経団連の産業問題委員会ジャパン・ブランド部会(品田英明部会長)は4月23日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。会合では政策シンクタンクPHP総研の金子将史国際戦略研究センター長・主席研究員から、国家ブランドをめぐる世界の動きとわが国の現状や今後の課題等について説明を聞き、懇談した。

金子氏は、1990年代以降、国家ブランドへの関心が世界的に高まった要因として、(1)グローバリゼーションが進むなか、各国政府が、海外からの投資・海外市場への輸出・人材の獲得・観光誘致といった、多様な側面で自国の売り込みに注力するようになったこと(2)自国の固有性をアピールする際に差別化のしやすい文化や歴史に焦点が当たるようになったこと(3)マーケティング分野で戦略的ブランド論が盛んになったこと――等があると指摘した。

また、国家ブランドキャンペーンの先例として、90年代英国の「クール・ブリタニア」、韓国の国家ブランディング、2011年からの英国の「GREAT」キャンペーンを紹介。今後、わが国にとって参考になるのは、12年のロンドン五輪にあわせて11年から16年まで実施されている「GREAT」キャンペーンであると指摘し、とりわけ、(1)キャンペーンの目的を経済効果の獲得と明確化したこと(2)事前の分析に基づき重点国を選定したこと(3)英国への態度の変化などを指標にキャンペーン成果の効果測定を実施したこと等――に留意すべきと説明した。

最後に金子氏は、東京五輪が開催される20年に向けたわが国の国家ブランド戦略の課題を提示。政府には、(1)実態や行動こそ決定的なシグナルになることを認識し、競争・成長戦略と国家ブランディングを一体的に実施し、「投資」「貿易」「観光」「人材獲得」等で実現すべき具体的目標を設定すること(2)対日認識の現状を徹底的に把握したうえで、コミュニケーション目標やターゲットを明確化し、訴求対象となる国や都市を思い切って選別すること(3)ステークホルダー間の効果的な調整を行い、情報共有・責任の明確化・専用の予算確保を進め、五輪運営・競争戦略・対外政策との連動を図り、企業や民間人が積極的に参加・協力できるようにしていくこと(4)リスクマネジメントに留意し、危機発生時のコミュニケーション体制の整備やわが国に対するネガティブキャンペーンへの対応も視野に入れること(5)PR・ブランディングに関するプロフェッショナル人材の活用・育成に向け、海外の人材を戦略的に活用しながら国内人材を育成すること――等が求められると指摘した。

金子氏との懇談後、同部会では、経団連が今年夏を目途に取りまとめる予定の「ジャパン・ブランド強化に関する提言」に盛り込むべき論点について意見交換を行った。

【産業政策本部】