Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年6月19日 No.3181  提言「公正取引委員会による審査手続の適正化を再び求める」公表 -独占禁止法の執行における事業者の正当な防御権確保を

経団連(榊原定征会長)は17日、提言「公正取引委員会による審査手続の適正化を再び求める」を取りまとめ公表した。

経団連ではこれまで、公正取引委員会の審査手続について、調査を受ける事業者の防御権が適切に確保されるよう繰り返し求めてきた。

こうした働きかけを受けて、昨年12月に成立した独占禁止法改正法の附則において、政府は今年12月を目途に審査手続について検討することとされ、今年2月、内閣府「独占禁止法審査手続についての懇談会」が設置された。そして12日、懇談会において今後検討すべき事項をまとめた「独占禁止法審査手続に関する論点整理」が公表され、パブリックコメントに付された。提言では論点整理に対応し、審査手続の適正化に向けた具体的な要望を行っている。
提言の概要は次のとおり。

1.見直しの必要性

これまでの度重なる独禁法改正により、公取委には刑事手続に匹敵する強力な調査権限が与えられるなど執行力が強化されていることに対応し、調査を受ける者の適正手続を保障し、防御権を確保する必要性が高まっている。また、日本企業が外国企業に比べ不利な取り扱いを受けるおそれをなくし、国内外の企業が安心してわが国で事業活動を行えるよう競争法インフラを整える観点からも見直しが必要である。

2.見直しの主なポイント

  1. (1)立入検査に関する手続の適正化
    公取委の立入検査については、事業者がその法的性質や審査官の権限について十分に理解していないため、重要な書類などをコピーもとらないままに持ち出されてしまうこともある。そこで、立入検査を行うにあたっては、法的根拠の明示や弁護士の立ち会いを認めるとともに、公取委に証拠を提出する際、事前に謄写ができることを法律上明らかにすべきである。また、課徴金減免申請手続に支障のないよう、立入検査当日の事情聴取については、社内調査にも十分に配慮した運用が行われるべきである。

  2. (2)供述録取過程の適正化
    供述録取過程の公正化・透明化のため、弁護士の立ち会いや、供述調書等の写しを事業者に交付することを法律上明確にすべきである。さらに、こうした行政調査手続が刑事手続に移行する可能性もあるため、供述者に黙秘権などが与えられることを法律上明記すべきである。

  3. (3)弁護士顧客秘匿特権
    事業者と弁護士との間の会話・通信内容には、機密情報が含まれることがあり、これを開示しなければならないとすると、事件外の関係者にも多大な損害を与えるおそれがある。さらに、事業者がコンプライアンスの観点から弁護士にあらかじめ詳細な相談をした際の資料について開示が求められることになれば、事業者の自主的なコンプライアンスに支障が出るおそれがある。欧米では、弁護士顧客秘匿特権(注)は当然の権利として認められており、わが国においても保障されるべきである。

    (注)弁護士顧客秘匿特権=弁護士と依頼人との間のやりとりについては、それに関する証拠の提出や開示手続での開示を拒否できるという権利

  4. (4)意見聴取手続についての課題
    昨年の独禁法改正により、他社が提出した証拠物件と他社の従業員の供述調書については、閲覧が認められることとなったが、加えて、謄写も認められるべきである。また、公取委が作成する調書・報告書について、内容の正確性が担保されるよう手続の整備が必要である。

※全文は、http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/061.html 参照

【経済基盤本部】