Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年6月19日 No.3181  提言「アジア諸国における税制および執行に関する要望」公表 -円滑な事業活動を経済成長につなげる

経団連は、提言「アジア諸国における税制および執行に関する要望」を取りまとめ、17日に公表した。

近年、国際課税をめぐりOECDおよびG20メンバーによるBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトなどの議論が進展しており、特に先進国と途上国の間でのいわゆる「課税の南北問題」が顕在化している。

こうしたなか、アジア各国では、移転価格税制の導入や適用方針の見直し、外資優遇税制措置の突発的な変更など、外資企業に対する徴税強化の動きがみられ、現地で事業展開するわが国企業にとって、税務リスクへの対応が課題となっている。

そこで、今回の提言は、今年3月に行った「アジア地域における税務問題に関するアンケート調査」をもとに、わが国企業がアジア地域で税務上抱えている主な問題を整理し、問題解決に向けた要望を取りまとめたもの。提言のポイントは次のとおり。

1.主な問題

提言は、アンケート調査で回答の多かった、中国、インド、インドネシア、タイ等の7カ国を中心に、移転価格税制・租税条約・関税などに分類して問題を列挙している。例えば、中国では、移転価格税制について執行に一貫性がない、事前確認制度(APA)申請に時間がかかる、相互協議が実質的に機能していない、恒久的施設(PE)に認定する基準が不明確であるなどの問題が挙げられる。また、インドにおいては、間接税等の税制が州単位に分割され課税ルールが複雑であるほか、移転価格の認定にあたり事業実態と異なる高い利益率が適用されるといった問題が発生している。このほかインドネシアで実態に関する調査を行わないままの一方的な課税、タイで税務当局が特恵関税の適用範囲を意図的に狭めるような実務が行われている等の指摘もある。

2.わが国政府等への要望

そこで、こうした課題を解決するために、日本政府に対し、相手国における国際的に調和した明確な制度の確立や透明性ある適切な税務執行を働きかけるほか、租税条約ネットワークの拡大と既存の租税条約の改定、相互協議の促進、タックスヘイブン対策税制の見直し、ソフトインフラの整備等を要望している。

同時に、相手国に対しては、ビジネス環境整備の一環として、適正な移転価格課税やPE認定の要件明確化、制度および手続きの簡素化などの要望を二国間委員会やアジア・ビジネス・サミットあるいは要人との懇談の場などを通じて伝え、解決を図っていくこととしている。また、国際課税にかかわる世界共通の枠組みづくりへの貢献も進めていく。

※全文は、http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/060.html 参照

【国際協力本部】