Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年7月17日 No.3185  提言「地球規模の温暖化対策への貢献~日本産業界のさらなる挑戦」公表 -低炭素社会実行計画フェーズIIへの取り組み開始

会見で提言について説明する榊原会長

経団連(榊原定征会長)は7日、提言「地球規模の温暖化対策への貢献~日本産業界のさらなる挑戦」を取りまとめ、温暖化対策への主体的取り組みとしてかねて進めてきた低炭素社会実行計画について、フェーズIIに取り組むことを公表した。概要は次のとおり。

■ 日本産業界のこれまでの取り組み

経団連は1997年に自主行動計画を策定し、着実に成果を挙げてきた。自主行動計画は、わが国の京都議定書の目標(温室効果ガス排出量を2008~2012年の5年間で1990年比マイナス6%)の達成にも大きな貢献を果たしており、内外で高い評価を受けている。

また、2009年には、(1)国内の事業活動から排出されるCO2の2020年目標の設定(2)製品使用段階での排出削減等を含む主体間連携の強化(3)途上国支援等の国際貢献の推進(4)革新的技術の開発――の4本柱からなる低炭素社会実行計画の策定を宣言した。現在までに54業種が実行計画を策定しており、地球規模の温室効果ガス削減に向けた取り組みを着実に推進している。

■ 日本産業界のさらなる挑戦

気候変動をめぐる国際交渉では、2015年12月のCOP21(第21回国連気候変動枠組条約締約国会議)までに、すべての国に適用される2020年以降の国際枠組みについて合意することとされている。今後、わが国でも、2020年以降の温暖化対策の検討が行われる見込みである。

そこで経団連としては、地球規模・長期の温暖化対策に一層の貢献を果たすため、「低炭素社会実行計画フェーズII」として、実行計画に基づく4本柱の取り組みのさらなる拡充を図ることとした。国内の事業活動からの排出について、従来の2020年目標に加え2030年の目標等を設定するともに、主体間連携の強化、国際貢献の推進、革新的技術の開発の各分野において、可能な限り取り組みの強化を図る。

また、実行計画の実効性・透明性・信頼性を確保するため、これまで同様、PDCAサイクルを推進する。その際、2030年の目標等については、長期の取り組みであることを踏まえ、透明性を確保しながら、社会・産業の構造の変化や技術革新の進捗など、さまざまな要因を考慮していくことが一層重要となる。

■ 低炭素社会実行計画推進のための環境整備

産業界の主体的な取り組みは、温暖化対策のみならず産業競争力の維持・強化にも大きく貢献する。政府の温暖化政策においては、低炭素社会実行計画を産業界における取り組みの柱に位置づけるべきであり、国民生活や企業活動に多大な影響を与える排出量取引制度は導入すべきではない。

また、すべての主要排出国が参加する公平な国際枠組みを構築するとともに、わが国の数値目標については、国際的公平性、実現可能性、国民負担の妥当性を確保し、特定の基準年からの削減率に拘泥することなく、個々の取り組みを積み上げて真水で設定する必要がある。その前提となるエネルギー政策は、安全性、エネルギー安全保障(安定供給)、経済性、環境適合性(S+3E)のバランスを確保し、成長戦略を実現できる現実的なものとすべきである。

※全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/065.html 参照

【環境本部】