Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年8月7日 No.3188  モンゴル・ビジネス・フォーラムを開催 -「今こそモンゴル投資の好機」エルベグドルジ大統領が強調

エルベグドルジ大統領(中央)と御手洗名誉会長(左)榊原会長(右)

経団連は7月22日、東京・大手町の経団連会館で、ツァヒャー・エルベグドルジ・モンゴル大統領を迎えて、モンゴル政府とともに「モンゴル・ビジネス・フォーラム」を開催した。同フォーラムは、「日本企業に自らモンゴルの投資機会を伝えたい」というエルベグドルジ大統領の発案で経団連に開催の協力依頼が寄せられたもの。当日は、日本側180名、モンゴル側210名が参加した。

開会あいさつで、榊原定征会長は、モンゴルの豊富な資源やインフラ需要は日本企業にとって有望なビジネスチャンスであり、協力の実現のためには、より自由で安定的な事業環境の構築が重要と述べた。また、同日に大筋合意された日・モンゴル経済連携協定(日モEPA)の早期締結への期待を表明した。

■ 日本は最も信頼できるパートナー

続く講演においてエルベグドルジ大統領は、両国官民協力がかつてない高い水準にあり、日モEPAが間もなく締結されようという今こそ、両国の貿易投資が動き出す時だと強調。そのために、モンゴルの投資環境をオープンで透明性の高いものとするべく外国投資法改正等の法整備を行ったと述べた。

また、インフラ、鉱物資源に加えて、金融、農牧業、食品加工、都市開発、観光に投資機会があると述べたうえで、日本企業の技術や知見を活用して生産協力を進め、日本および世界市場に進出したいと述べた。物流については、中国およびロシアとの間でトランスファー輸送に関する新たな協定を準備しており、課題は改善されるとの見通しを示した。

講演のなかでエルベグドルジ大統領は何度も、「日本は最も信頼できるパートナーである」と強調し、今こそ互恵的経済関係を築きたいと参加企業に語った。

■ モンゴル政府の具体的取り組み

続いてモンゴル政府幹部から、法制度整備、マクロ経済情勢、協力可能性の高いエネルギー・物流等の具体的案件について説明があった。

  • Ch・サイハンビレグ官房長官
    外国投資法、投資ファンド法、鉱物資源法、石油法や経済特区における税制優遇措置の整備によって、モンゴルの投資環境は大きく改善した。政府は日本の投資を全面的に支援する。

  • N・ゾルジャルガル・モンゴル銀行総裁
    マクロ経済安定のため、為替レートと金利の適切な水準の維持に努める。外貨準備高の減少に対応するため中国と通貨スワップ協定を締結した。

  • R・ジグジッド・鉱山省次官、D・デルゲルツォグト・エネルギー省次官
    両国には製鉄・銅精錬等の鉱物資源加工、発電所建設で大きな協力可能性がある。

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続くパネルディスカッションでは、日本側パネリストから、モンゴル投資を促進する具体的手段として、ワンストップサービス窓口の設置、プロジェクトファイナンスに関する担保・保証制度等の法整備等が提案された。モデレーターを務めた河合正弘・東京大学公共政策大学院特任教授は、「日モンゴル経済は補完的関係にあり、一層のビジネス環境整備によってモンゴルの経済成長に必要な資源開発・加工および産業多様化での協力が進むのではないか」と締めくくった。

なお、この後、日本貿易振興機構(JETRO)とモンゴル国政府が主催したビジネス交流会を通じて、参加者同士の交流が行われた。

【国際協力本部】