Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年8月28日 No.3189  女性活躍推進に関する政府の取り組みを聞く -女性の活躍推進委員会

講演する村木厚生労働事務次官

経団連の女性の活躍推進委員会(前田新造共同委員長、伊藤一郎共同委員長)は7月28日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、厚生労働省の村木厚子事務次官から、「女性が活躍できる日本に向けて―政府の取り組みの方向性と経団連への期待」と題する講演を聞き、意見交換を行った。講演の概要は次のとおり。

■ 女性活躍推進の社会的重要性

日本では少子化の進展により、2005年を境に死亡数が出生数を上回る人口減少時代を迎えており、将来的には、生産年齢人口の減少に加え、急速な高齢化により現役世代の負担はますます重いものとなる。しかし、国民の結婚や出産に対する希望は決して低いものではなく、希望どおりに結婚・出産ができるようになれば、他の先進国並みの1.75程度の出生率を確保できるため、今後の政策次第で希望のある日本の将来像を描くことは可能である。

少子化対策を進めると同時に、人口減少のなかで経済成長を実現するためには、女性、高齢者等の潜在労働力を活かすことが不可欠である。女性の就業率が上がれば、少子化が進むという意見もあるが、先進国の多くは、女性就業率の高い国が出生率も高い傾向にある。産みやすく、働きやすい社会をつくることにより、女性の活躍と少子化対策の両立は可能である。

就業者動向に関する推計によれば、経済成長と労働参加が適切に進むケースと進まないケースでは、2030年時点での就業者数に約650万人の差が生まれる。また、女性の就業率は正規の職員・従業員は25~29歳がピークとなっており、35~39歳を底に再び上昇していくが、パート・アルバイト等の非正規雇用が主となっている。

女性が辞めずに正規のまま継続就労することが望ましいが、現実には、両立困難等を理由として、いまだに第1子の出産を機に約6割の女性が退職している。このため、男女ともにワーク・ライフ・バランスを実現する必要がある。

■ 政府の取り組みと成長戦略

このような状況を踏まえ、安倍政権では、女性の活躍を成長戦略の一つの柱とし、「女性の活躍推進」と「仕事と家庭の両立支援」を両輪として政策を進めている。直近では、男女を問わず育児休業取得をさらに促進するため、育児休業給付の給付割合を引き上げる法改正を行った。また、時限立法である次世代育成支援対策推進法について、10年間の延長と制度の充実を図る法改正を行った。

今年6月に改訂された「日本再興戦略」では、安倍総理の強いリーダーシップのもと、多岐に渡る女性の活躍推進に関する政策の方向性が示された。このうち、女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築については、国・地方公共団体、民間事業者における現状把握、目標設定、自主行動計画の策定、情報開示などの取り組みの促進が掲げられ、今年の臨時国会へ法案を提出すべく検討に着手したところである。

■ 経団連に対する期待

4月に経団連が公表した「女性活躍アクション・プラン」は、実践的でわかりやすく大変参考になる。女性の活躍推進委員会の新設など、経団連の今後の取り組みにますます期待が高まるところである。女性の活躍なしには、暮らしやすい社会は実現できない。男女を問わずすべての人材が活躍できる社会が豊かな未来につながると思っている。経団連とも連携しながら、引き続き努力していきたい。

【政治社会本部】