Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年8月28日 No.3189  今後の労働行政めぐる動向を聞く -女性の活躍促進や働き方改革の今後の検討見通しについて/労働法規委員会

経団連は7日、東京・大手町の経団連会館で労働法規委員会(鵜浦博夫委員長)を開催した。厚生労働省の石井淳子政策統括官から、「『日本再興戦略』改訂2014の概要と今後の労働行政をめぐる動向」について説明を聞くとともに、意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

■ 最近の雇用情勢等

日本の労働力人口はすでに減少している。女性の就業率は国際的にみて低水準であるものの、働きたいと思う女性は多い。これは、潜在的労働力が大きいといえるため、希望が持てる。

管理職に占める女性の割合は長期的には上昇傾向にあるが、欧米の3割超に比して、わが国では約1割と低く、また企業規模が大きいほど低い傾向にある。

労働時間は全体的には減っているが、男性30代・40代で週労働時間が60時間以上の雇用者割合が2割である点は課題である。

■ 「『日本再興戦略』改訂2014」の概要と今後の労働行政をめぐる動向

改訂の基本的考えは、経済の好循環を引き続き回転させていくこと、そのために「稼ぐ力=収益力」を強化すること、デフレから脱却しつつある今こそがラストチャンスととらえ、具体的な行動を促していくことである。その担い手を生み出すために、女性の活躍促進と働き方改革を進め、世界トップレベルの雇用体制を確立する必要がある。

女性の活躍促進については、成長戦略の柱と位置づけており、「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」の実現に向けて、国・地方公共団体、民間事業者など各主体が取るべき対応や取り組み促進のための措置について検討し、秋の臨時国会に向けて法案の準備をしていく。

働き方改革については、(1)働き過ぎ防止のための取り組み強化(2)時間ではなく成果で評価される制度への改革(3)裁量労働制の新たな枠組みの構築(4)フレックスタイム制の見直し――が閣議決定された。このうち「時間ではなく成果で評価される制度への改革」については、産業競争力会議課題別会合において安倍総理が発言したとおり、「希望しない人には適用しない」「職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材に、対象を絞り込む」「働き方の選択によって賃金が減ることのないように適正な処遇を確保する」という前提のもと、今後、労働条件分科会で議論し、年内をめどに結論を得る。

<意見交換>

参加企業からは時間ではなく成果で評価される制度について、対象が限定的になりすぎると、制度導入の効果も限定的になるため、日本再興につながる抜本的な改革にするようにとの意見が出された。また、女性活躍のための法的枠組みに関しては、個々の企業や業種特性により状況が異なることから、数字だけで評価されるような仕組みにならないようにしてほしいとの要望がなされた。

【労働法制本部】