Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年8月28日 No.3189  青森県の佐々木副知事から「人口減少社会における地域開発のあり方」聞く -むつ小川原開発推進委員会2014年度総会開催

経団連は4日、東京・大手町の経団連会館でむつ小川原開発推進委員会(大宮英明委員長)の2014年度総会を開催した。むつ小川原地区が位置する青森県の佐々木郁夫副知事を来賓に迎え、地域の課題解決に向けた取り組み等について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明概要は次のとおり。

■ 人口減少対策は喫緊の課題 ― 5カ年基本計画を策定

青森県の人口は132万人と、1979年の153万人をピークに約30年間で20万人以上減少した。要因別にみると、首都圏への人材供給等による社会減を自然増で補う部分もあったが、出生数減少が進み、99年ごろから自然減に転じた。

危機感のなか、青森県は地域の活性化を目的に、5カ年基本計画「未来を変える挑戦」を策定。変革に向けて行動を開始している。

■ 「青森ブランド」の確立に向けて、強みを追求し課題を克服

基本計画における2030年の青森県の目指す姿の具体像は、県産品はもとより文化や風土を含む総合的な価値を高め、世界が認める「青森ブランド」を確立することである。そのために「産業・雇用」「安全・安心、健康」「環境」「教育、人づくり」の4分野を横断する複数の戦略プロジェクトに取り組む。

そのうちの一つ「人口減少克服プロジェクト」では、青森県の強みを継続して活用し、雇用を確保し若者を中心に県内に定着させることを目指す。例えば農林水産業をみると、青森県の直近の食料自給率は112%と全国有数で、産品のバランスにも優れる。そこで、攻めの農林水産業を志向し、従来型の「生産重視」から「消費者起点」「販売重視」に転換して地道に取り組んだ結果、農林水産品出荷額が全国一の伸び率を記録するなど成果を上げている。また、リンゴなどの対アジア輸出の拡大も図っている。

■ 新しい産業分野を活性化 ― 交通・物流面でも高い潜在力

農林水産業以外でもさまざまな活動を行っている。例えば成長著しいライフ分野産業の育成では、産学官が連携し、サケの鼻軟骨を原料とする機能性素材「プロテオグリカン」を開発し、化粧品等に使用している。また、再生可能エネルギーでは、風力発電が6年連続で全国一の設備容量を達成した。今後は機器の保守点検を含め、この分野の雇用機会を増やしたい。

国内外の定期航空路線の開設や近い将来の北海道新幹線の開業等、交通ネットワークも充実している。海路では北極海航路の動向も注視し、欧米やアジアを結ぶグローバル物流拠点としての高い潜在力を訴求していきたい。

また、特に冬季の外国人観光客誘致を推進しており、タイや豪州からの訪問数が増加している。

■ 積極的な企業誘致を継続して推進

これまで青森県は、比較優位を有する分野において、戦略的な企業誘致を展開してきた。その結果、03年度以降の企業誘致は134件、工場の新増設は155件となった。今後、LNG輸入基地の新設なども予定される。

むつ小川原地区については気候が冷涼で雷も少ないなど、データセンター等に適する。また、生真面目でひたむきな県民性から人材に優れ、製造業の拠点としても高い評価を得ている。より多くの企業が青森県に進出するよう努力を継続したい。

【環境本部】